無N

□馬鹿みたいに好き
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惇「猛徳はまだか!」
「城下まで来ておりますっ!」
惇「急ぎ運び入れろ!」
「直ちに!!」
惇「猛徳…っ。俺に覇道を見せず逝くことなど許さんぞ…っ」


甘「…おいおいなんか…やばくね?」
凌「…偵察に忍び込んだはいいものの…」
「「殿様の危機に遭遇するとは…!」」
甘「曹操の奴、誰かに殺られたってか?」
凌「重体には変わり無さそうだね…とりあえず、騒ぎが収まるまでじっとしとくか」


「殿がお戻りになられましたー!」

凌「お」

典「…殿ぉ!しっかりして下せぇ!!」
許「そっ曹操様ぁ…!」
操「…悪来…許チョ…儂はっ…」
典「喋ってはいけねぇ、傷に触っちまう!」

凌「担架で運ばれてきたぜ」
甘「…すっげぇ。側近二人がべったりかよ」
凌「しかもどちらもガタイ良すぎて曹操見えないっていうね」

惇「猛徳ー!」
操「…くっ…夏候惇か…?」
惇「大丈夫か?!」
許「うわーん!曹操様死なないでくれー!」
典「許チョ!縁起でも悪ィこと、言うんじゃねー!」
許「だって、だって、出血が…!」

凌「出血が凄いようだね」
甘「へぇ、魏の曹操相手にか!やるじゃねぇかそいつぁ!」

惇「誰にやられた!何があった!!」
典「それが…っ」
惇「それが?!」
典「階段の最上階から転げ落ちまして!」

どんがらがっしゃーん

凌「えええええ」
甘「戦じゃねーのかよ?!お茶目か!」
凌「やばいっての!流石の夏候惇将軍もキレちゃうぞ!」

惇「…なん…だと?」

「「…キレる…っ」」

惇「馬鹿者ォ!」
ばきっどかっ
典「ぐふっ」
許「げふっ」

「「ええええ」」

惇「何故しっかり支えておかなかった!」

甘「…そこ?」

典「す、すいやせん…殿があまりに堂々とお歩きになるんで拍手を送っていたら…」
惇「そういうのは許チョにやらせておけばいいんだ!…お前ともあろう者が…っ」

凌「…許チョの役目」

許「オラのせぇで…オラのせぇで…っ」
操「…許チョ…」
許「!」
操「私は…お前の様な心優しく優秀な部下を持ったこと…誇りに思っているぞ…」
許「そっ曹操様ぁ…!」
操「…悪来、私は勇敢なるお前の活躍に…何度救われたことか…」
典「うっ…殿ぉー!」
操「…そして、夏候惇…」
惇「…!」
操「…世話を焼かせたな…お前が居なければ…儂は、もう…」
惇「もう…言わんでいい!これからも、死ぬまでずっと世話を焼くのが俺の役目だ!」
操「…ふっ。そうだ、な」
惇「猛徳!お前の覇道は、覇道は……」
操「…有難うよ、皆…」
典「殿?!」
操「…魏に…栄光、あれ……ぐふっ」
惇「猛徳ぅううう」
許「曹操様ぁああ!」
典「殿ぉぉぉぉ」

甘「……」
凌「……」
甘「…なぁ」
凌「…あぁ」
甘「…階段から落ちただけだよな」
凌「…の筈だよ」
甘「……大袈裟じゃね?」
凌「…大袈裟だね」
甘「……」
凌「……」

「「帰ろっか」」



【 馬鹿みたいに好き 】


甘「…偵察の報告なんすけど…」
堅「御苦労だったな!」
凌「魏の方々は…皆、曹操様が大好きなようですよ」
堅「……?」


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悔いはない。

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