無N

□教えてください
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「情でも沸いたのかよ」

「!」
「可愛くて仕方ねーってか」
「なに言ってんの」
「…ま、別にいいけどよ」
「…ねぇ!」
「……」
「なにが…言いたいわけ?」
「お前が一番分かってんだろ」
「……」


「目的、見失うんじゃねーぞ。妲己」



あり得ない。

この私が、そんなこと言われるなんて


あんたなんかに言われなくたって
そんなの分かってる。

私がどれだけ遠呂智様の復活を望んでいるかも分かってない訳なんてないのに。


「悟空さんのくせに生意気なのよ」

「…なにか言ったか?」
「なんでもないわ」
「……」
「なによ?」
「眉間に皺を寄せておるからな、何かあったのか」
「別にー?」
「そうか。なら良いが」
「……」
「最近の御主はいやにご機嫌じゃった。珍しくも、な」
「ちょっと政宗さーん?私がいつもツンツンしてるみたいじゃないのよ」
「みたいもなにも」

失礼なひと。
こんなに楽しそうにしてるのが分からないわけ?


「儂が如何にして遠呂智復活に力を注いできたかは分かるな?」
「そりゃもう」
「…目前になってこんなことを言うのは可笑しいが」
「?」
「卑弥呼とやらを清盛に渡すのは惜しいな」
「…は?」

「御主の人の子の様な表情を見ることが出来る」
「…だからなに?!それがなに?!」

今すぐその含み笑いを、

「あの子女といる時の」
「やめて!!!」
「?」
「なんなの皆して!この私が卑弥呼に情?笑わせないで、私はただ遠呂智様を復活させるためにやってるだけよ!」


ムキになる理由が分からない。
言わせておけばいいのに。
何故か黙ってられなくなる。


卑弥呼に対して何か、私の知らない何かが芽生え始めていることを認めたくない。

いや、認められない。
だって、


「妲己ちゃん!」
「あら卑弥呼」
「見て!むっちゃ綺麗やろ?!」
「どうしたのこの花?」
「菜の花言うてな」
「…邪馬台に咲いてた?」
「そう!故郷の花や!…それと、はい!」
「!!」
「わーやっぱ可愛いわぁ!」
「……」
「お花の冠、大変やったんやで作るの!」
「あり、がとう」
「えへへ」
「…でも」
「ん?」
「いつかは枯れちゃうわね」
「…せやなぁ」

(何事も)

「…せやけど、枯れたらウチがまた妲己ちゃんに作ったげるよ!何度だって」



私はこの胸に渦巻くモノを知らない。



【 教えて下さい 】



でも、
きっと誰もが求め足掻くものなのだとは、
私にも分かるの。


________________
妲己は卑弥呼に対する愛情に、最初は戸惑ってればいい\(^O^)/

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