無N

□妲己家編
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「卑弥呼ー」

卑弥呼は遊ぶ手を止め満面の笑みで声の主を見上げた。

「どないしたん、だっきちゃん!」
「悪いんだけど、隣に回覧板届けてきてくれなーい?今手が離せないのー!」
「ん、ええよ!」
「ありがと〜卑弥呼!」

卑弥呼は妲己から回覧板を受け取る。

「だれやったっけ、おとなりさん?」
「清盛さんよ」
「ーーーッ」
ばさばさっ
「ちょ、卑弥呼…?」

卑弥呼は顔を真っ青にして立ち尽くす。

「…あかん」
「?」
「ご、ごめんなだっきちゃん、ウチ、行きたくない…」
「どうしたのよ急に?」
「清盛って…あの、顔色ごっつ悪い白髭のオッサン…やろ?」
「そうそう」
「いやや!ウチ怖いねん!…ふぇっ」

卑弥呼は瞳一杯に涙を溜め、しゃくりあげてしまう。慌てて妲己は卑弥呼の背を擦る。

「ちょっと〜…どうしたのよ」
「ひくっ…あのオッサン、ほんま怖いねん!」
「…なにか…されたの?」

卑弥呼が頷くと途端に部屋中の空気が冷え込んだ。


「なにされたの…?」
「…あんな、学校の帰り道とか、ついてくんねん。でな、だっきちゃんの友達や言うたからウチ、ついてったん。ほんならいきなりお経唱えはじめたんや!」
「……」
「怖なって逃げたら凄い顔で追いかけてきたんや!」
「そ、れで…?」
「通りすがりのべんけーはんが助けてくれた!…もう、怖い…嫌や…っひく」

ばきっ
「ひっ?」

妲己は拾い上げた回覧板をへし折る。


「…卑弥呼〜」
「な、なん?」
「イイコだからちょっっっっとお留守番しててね〜?」
「う、うん…」

卑弥呼の頭を撫でると、ドアを破壊せん勢いで妲己は家を出ていった。




【 知らないオジサンについていってはいけないよ〜妲己家編〜 】



…ピーポーピーポーピーポー…
「うわっなんや?きゅーきゅーしゃや!…妲己ちゃん遅いなぁ…なんかあったんかな?」


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そうですオジサンは血祭りにあげられました。

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