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□愛しのお師匠様
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「だめ!待って悟空!」
「ーーうわっ」
決死のジャンプ。悟空は押し倒された。
「いってェ…!」
「ご、ごめん!」
「いや、お師匠様こそ大丈夫で…あーあ、膝擦りむいちゃって…」
上半身を起こし反転させ、腰に跨がる三蔵の白い膝を見つめる。
「…あっ」
突如あがった声に顔をあげると目の前に、美しすぎる顔。息を飲む。
「な、なんすか」
「悟空、口切れてる…!」
ぺろりと口端を舐めあげてみると鉄の味がした。そして悟空の好きな匂い。
「大丈夫?!」
「こんくらい別に…」
「他に、他に怪我はない?」
優しい手つきで頬を包まれ見つめられると流石の悟空も赤面せずにはいられなかった。おまけに押し倒されているときたら尚更だ。
「顔赤いよ?…熱?!」
「だぁー!ちっげぇよ!」
「?」
「ちょっと!とりあえずそこ退いて下さいよ!」
「…なんで?」
「は?なんで?!」
きょとんとする三蔵を無理矢理抱き上げ立ち上がる。
そして金の瞳をつり上がらせた顔をずいっと近づけた。
「お師匠様!」
「う…ん?」
「あんたね、駄目!ホント!」
「え?」
「すぐ飛び付かないの!」
「悟空が逃げようとしたからでしょ?」
「…でしたねすんません。じゃなくて!!」
「?」
「飛び付いたり、抱きついたり、押し倒したり、馬乗りになったり!」
「……」
「俺以外の男にそーゆーことしちゃ駄目っすよ?!」
未だ自分の服を掴んで離さない三蔵の手を引き剥がし、ため息をつく。
「なんで?」
悟空は白眼を向いた。
「決まってんでしょ!あんたみたいなの、簡単にとって喰われちまうからだよ!!」
「…それなら大丈夫!」
「…は?」
「悟空にしかしないもの!」
にこりと笑った師匠に勘弁しろよと項垂れる悟空。
「それにね、」
「私の身に何かあっても、何時だって悟空が助けにきてくれるから、大丈夫!」
【 愛しのお師匠様 】
「…だから、そーゆーの…ッ」
「助けにきてくれる時の悟空、すっごくかっこいいよ!」
「毎度助ける俺様の身にもなれよー!」
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西遊記、お師匠様は何度も悟空に助けてもらってる。悟空は無邪気なお師匠様の危行にドキマギしつつも心配してたらいい笑