幼女
□お揃い
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「ママ、おめめかゆい」
サイ「なんだと?よく見せろ…」
「ん」
Xはしゃがみこんだサイクスにずいっと顔を近付ける。
サイ「…これは…」
「?」
サイ「X、汚れた手で目を擦っただろう」
「おぼえてないよー」
サイ「ものもらいだ」
「もの、もらい?」
首を傾げるXに頷く。
サイ「来い」
「はーい」
サイクスはXを連れて研究室へ向かった。
ヴィ「ものもらいー?!」
サイ「ああ。薬を作れ」
ヴィ「私は医者じゃないんだぞ!」
サイ「なんだ、作れないのか」
ヴィ「この私が作れない訳なかろうっ」
サイ(…チョロい)
ヴィ「直ぐに作ってやろう」
サイ「頼んだぞ」
「はかせすごーい!」
ヴィ「ふふふ!」
張り切るヴィクセンのおかげであっという間に薬が完成した。サイクスはその目薬をXにさしてやると、眼帯をあてる。
ヴィ「毎日三回程させば…ふん、2日で完治だ!」
サイ「…X、痒いからといって目を掻くなよ。痒くなったらまたさしてやるから」
「うん、わかったよ!」
サイ「ご苦労、ヴィクセン」
ヴィ「御安い御用だ!」
「ありがとうはかせ!!」
ヴィ「……//」
照れるヴィクセンをギロリと一瞥し、サイクスはXと共に回廊へと消えた。
ロク「腹ペコだよ…」
デミ「サイクスー昼飯まだぁ?」
広間へ戻ると多くの機関員が空腹で集まっていた。
サイ「今から作る。…X、触るなよ」
「うん、分かってるよママ」
笑顔で頷くXの頭を撫でるとサイクスはキッチンへと姿を消す。
デミ「…あれ?!その右目、どうしたのXちゃん!」
「あのね、ものもらいになったの!」
アク「へぇー大丈夫かよ」
「全然大丈夫だよ!Xつよいもん!」
ロク「偉い偉い!」
えっへんと胸を張るXの背後に回廊が開く。
シグ「腹減ったー」
「しぐ!」
シグ「おー姫さん…って、お前、どした」
デミ「ものもらいだってぇ…」
シグ「はは!餓鬼らしい!」
デミ「Xちゃんの可愛い顔がぁあ」
うわーんと一人騒ぐデミックスを無視してアクセルは言う。
アク「不便だとは思うけど…まぁすぐ治るさ。気にすんなよX」
ロク「そうだよ!その眼帯だって変じゃないぞ!」
アクセルはぽんと小さな頭に手を置く。Xはポカンと口を開けていたが、にっと歯を見せて笑った。
「X、このままでもいいよ!」
アク「…は?」
「だって、しぐもこれ、してるもん!」
Xはシグバールに飛び付く。
「しぐとX…おそろい、だね!!」
にこりと笑った。シグバールは一瞬間を置くと声をだして笑う。
シグ「はっはっは!Xお前、随分と可愛いこと言ってくれるじゃねーか!」
「しぐはXとおそろい、いや?」
シグ「…いーや?嬉しいぜ」
「えへへ!」
ぎゅーっと抱き合う二人を羨ましそうに見つめる三人。
デミ「…俺もものもらいになりたい」
アク「あほか」
デミ「だってぇー!!」
ロク「…Xちゃんは言う言葉全てが可愛いんだよな…」
「ものもらい治っても、これつけてたい!」
シグ「やめとけやめとけ。折角の可愛い顔が半分しか見えねぇだろ?」
「しぐとおそろいがいいの!」
シグ「…あーホント可愛いなお前」
【 お揃い 】
サイ「…飯だ」
「「「待ってましたー!」」」
シグ「…おい。俺の分は」
サイ「ない」
シグ「おいいい!なんでだよ!」
サイ「黙れ黙れ!!」
シグ「嫉妬からの八つ当たりはよくねーってハナシだ…!」
「しぐ、Xとはんぶんこする?」
サイ「Xーーー!!」
アク「落ち着け!!」
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ケアル使えば一発で完治しますよ