幼女
□牛が一匹、牛が二匹
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サイ「X、歯磨きは終えたか?」
「あほひょっほー!」
サイ「湯冷めする前にベッドに入れよ」
「はーい!」
洗った小さな歯ブラシとコップをしまい、Xは洗面所をでる。
「ママ、お休みさーい」
サイ「おやす……って何だそれはぁああ?!」
「「「っ?!」」」
広間に来たXを見るや否や、サイクスは絶叫した。
ラク「何ようるさいわねー」
ラクシーヌがテレビから二人へ視線を移すと、
ラク「なんでぇぇえええ??!!」
同じく絶叫。
なんだなんだと集まる機関員。
アク「うおっ!なんつーもん着てンだよ?!」
「パパから貰ったの!おそろいー♪」
そう、Xが着ているのはゼムナスの白黒コート。
通称『牛柄コート』だった。
サイ「…だからXのサイズを聞いてきたのか…っ」
シグ「ゼムナス専用の柄だ」
マル「…ずるい」
ロク「何言ってんだよマールーシャ」
ゼク「こんなの着るなら消滅した方がマシです」
デミ「でもXちゃんが着ると可愛い!」
シオ「うん、凄く可愛い!」
牛柄コートに対しては賛否両論だが、Xが着ることによって癒しの服へと姿を変えた。
レク「…似合ってるぞ」
「ホントー?!」
ルク「指導者よりも着こなせているな」
「そ、そおかなぁ…?///」
デミ「〜〜あーもー可愛いッ!!」
デミックスはXに抱きついた。
「でみー♪」
デミ「食べちゃいたい〜!」
アク「やめいっ」
デミ「あだっ」
Xを褒める一同だが、約一名は膨れっ面をしていた。
ラク「…あり得ないわ」
マル「何がだ?」
ラク「Xにはもっと可愛いパジャマの方がいい!」
シグ「はい牛柄批判きたー」
叫ぶラクシーヌを見てシグバールは笑う。
ザル「…俺も同感だな」
ゼク「奇遇ですね、僕もそう思います」
アク「おいおい」
シオ「…あたしも可愛い系の方がいい気がしてきた」
ロク「シオン、」
意見が割れ始める。
ラク「でしょー?!Xにはね、もっとピンクのフリルとかリボンのついた可愛いやつが似合うわ!」
熱弁するラクシーヌ。
デミ「確かに牛柄はだっさいけどーXちゃんだから可愛いじゃん!」
ロク「賛成!逆に小動物みたいで可愛いよ」
レク(…小動物…//)
反対するデミックス達。
ラク「はぁ?女の私とシオンが言ってんだから間違いないの!」
シオ「別にそれが駄目って言ってるんじゃなくて、もっと違うのも可愛いよってことだよ」
デミ「むむむ…」
静かに火花を飛ばし合う。
アク「…どーでもいーじゃねーか…」
ルク「Xは何でも似合うという結論でいいのでは…?」
サイ「…まったくだ」
マル「見苦しい…」
シグ「はっ…平和だね〜?」
そしてその光景を涼しい目で見守る5人。
「パパがくれたの、悪く言わないで…!」
全「「「!!」」」
悲しそうに見上げるX。
ゼム「…X、」
ヴィク「なんだ、全員揃って?!」
そこへゼムナスとヴィクセンが仕事を片付け帰ってきた。
「パパーっ」
ゼム「…早速着たのか…」
「うん!」
ゼムナスは走り寄るXを抱き上げた。
サイ「何故そんなものを…」
ゼム「…Xがなかなか眠れないと言うからな…」
「この牛さんコートを着て、牛さんを数えたら眠れるって!」
全「「「それを言うなら羊だろーがァ!!」」」
ゼム「狽ネにぃ?」
「…ひつじさん?」
ものを知らないリーダー。
アク「あんた…残念すぎるだろ、色々と」
ロク「…うっわ、マジでひいた」
ゼク「あんな物を着るから頭まで侵食されたのでは?」
ゼム「………orz」
「パパ責めちゃやーよ!」
全「「「そうだよね、ごめん」」」
ゼム「うぉおいいい」
ヴィク「フフフ…小娘のコートは私が作ったのだ!」
サイ「X、今すぐ脱げ」
ヴィク「話を聞け」
咳払いをするとヴィクセンは得意気になって続けた。
ヴィク「そのコートには睡眠や血行の促進効果があるのだ」
アク「地味にすげぇ」
ヴィク「そしてゼムナス殿にきつく頼まれた機能…」
全「「「…??」」」
ヴィク「赤外線レーダーだ!!」
ゼム「…つまり、睡眠中のXに近づいた輩を瞬時に感知出来る…」
全「「「…ごくりっ」」」
ゼム「私の手で抹殺してやるぅう…!!」
全「「「鬼畜ッ!!!」」」
【 牛が一匹、牛が二匹 】
「牛と羊を間違えた奴とは思えない発想だ」
「ふっ…」
「「「ドヤ顔すんな」」」