幼女
□マイルーム
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ゼム「X…来なさい…」
広間で積み木をしていたXはゼムナスに呼ばれて立ち上がった。
「どうしたのパパ?」
黙って歩きだすゼムナス。
それについていくX。
ゼム「…ここだ」
Xがここ数日寝泊まりしていたゼムナスの部屋の隣に新しい扉が出来ていた。
ゼムナスに促され扉を開ける。
「うわぁああ〜!!」
そこはカラフルな家具や小物が踊る小さな部屋。
「どうしたのぉ?!」
ゼム「…今日から…ここがお前の新しい部屋だ」
「Xの?Xのおへやぁ?!」
Xは部屋の中心に置かれた天蓋付ベッドに飛び込んだ。
「すごいすごい!お姫さまみたい!!」
ふかふかの巨大枕に顔を埋める。
ゼム「…気に入ったか?」
「うん!!ありがとう!パパだぁいすきっ!」
ゼム「……///」
素晴らしい親子愛。
これがあの冷酷な機関のリーダーだとは誰も思わないだろう←
ゼム「今晩からは…ここで寝るんだぞ」
「…ひとり?」
ゼム「部屋は隣だ…」
「また一緒に寝ていい…?」
ゼム「…あぁ、勿論だ」
Xはニコッと笑ってゼムナスの部屋から荷物を取りに行った。
――その晩。
「パパ、ママ、おやすみなさい」
サイ「おやすみ」
ゼム「ゆっくり休め」
小会議を行なっていた二人に声をかけ、Xは自分の部屋に戻った。
「…うふふ」
ウサギのぬいぐるみを抱いて眠りについた。
ゼム「…寝たか?」
サイ「…ああ」
寝静まったのを確認すると二人は部屋に忍び込む。
サイ「…気持ち良さそうに眠っているな」
ゼム「…流石私のX…天使のようだぁあ」
サイ「部屋も気に入ったようだ」
ゼム「…金をかけてよかった」
サイ「Xの為なら飯代を削る」
ゼム「頼んだぞ…」
ゼク「お二人共何をなさってるんですか」
「「狽チ!?」」
Xを愛でていると背後からゼクシオンが現れた。
ゼム「お、驚かせるんじゃなぃぃっ」
ゼク「こっちの台詞です。で、何を?」
サイ「様子を見に」
ゼク「まったく…親馬鹿もいいとこですね。早く仕事に戻って下さいよ」
サイ「仕方ない、戻るか」
ゼム「むぅぅ」
ゼクシオンに急かされ二人は大人しく仕事に戻る。
ゼク「…ふふ、可愛い顔だ。食べたくなりますね…」
意味深な笑みを残し、ゼクシオンも部屋から出ていった。
ヴィ「……行ったな?!」
レク「…あぁ」
三人が去った後、ヴィクセンとレクセウスがベッドの下から這い出る。
ヴィ「小娘を研究するなら今しかないっ」
レク「何だと?…寝顔を見るだけだと…!」
ヴィ「私がそんなことをすると思うか?!」
レク「…騙された…っ」
ヴィクセンはXに手を出そうとした。
しかし、
マル「何をしている?」
「「狽チ?!」」
マールーシャ登場。
マル「…今貴方はXに手をかけようとした」
ヴィ「なっ違う!」
レク「…しててだろ」
マル「指導者に報告せねばな?」
ヴィ「や、やめてくれ!」
マル「ならば即刻立ち去って頂こうか」
ヴィ「くそぉ…憶えておけ!」
レク(…可愛い顔で寝ているな)
邪魔者が去り、マールーシャは口角を上げた。
マル「私のXよ…」
そしてXに手を伸ばしかける。
どぎゃん!
マル「…っ。」
弾丸が頭部に命中し、マールーシャは倒れた。
シグ「あっぶねー」
ルク「よくやった!」
ザル「……」
天井から飛び降りてきたのはおじ様三人衆。倒れるマールーシャの上に着地するとXに近寄った。
シグ「はっ可愛い顔して寝てるじゃねーの」
ザル「…ふん」
ルク「…まったく。油断も隙もない奴だ…」
バキッと華麗にマールーシャを蹴り飛ばすルクソード。パンパンと手を払うと眠るXの頭を撫でる。
ルク「監視カメラでも設置しておくか」
シグ「過保護か」
ルク「じゃあ君はこの子を狙う変態から常に守れるのかァア」
シグ「痛い痛い痛い」
ラク「あんた達も人のこと言えないだろが!」
「「「げっ」」」
背後に立っていたのは牙を剥くラクシーヌと苦笑いのデミックス。
シグ「騒音ばばぁ!」
ラク「キィーー!誰がばばぁですって?!」
ザル「静かにしろ、起きたらどうする」
ラク「誰のせいじゃ!」
デミ「お前らも来てたのかー!」
ルク「無論だよ」
喧嘩する三人を他所にデミックスはベッドを眺める。
デミ「かっわいいなぁ〜お姫様みたい!」
ルク「我等の姫じゃないか」
デミ「王子様俺でもいい?!」
ルク「却下」
デミ「即答?!」
ザッザッザッ
ルク「誰か来る」
デミ「やっば!逃げよ!」
ラク「ちょっと!私まだちゃんと見てない!言っとくけどね、あの兎は私が…」
シグ「はいはい」
五人が回廊へ消えた直後、アクセル・ロクサス・シオンが現れた。手には枕。
シオ「驚くよね?!」
アク「そりゃ起きて俺達がいるんだもの」
ロク「楽しみだな!」
三人は笑うとXの大きすぎる布団に潜り込んだ。
【 マイルーム 】
「…ん…」
「「「おはよーX!」」」
「うっ?あくせる、ろくさす、しおん?!」