幼女

□ドランク
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「……うぅ」


時計の針も12時を回った真夜中、Xはトイレへの不快感で目を覚ました。

深夜の恐怖からウサギのぬいぐるみを抱えて部屋を出る。


そして無事トイレから任務を果たして薄暗い廊下を歩いていると、どこからか騒がしい声と物音が。

「……?」


恐怖より興味が勝ったXは音を辿る。


たどり着いたその先には薄開きの扉。
中から眩しい光が射す。


「乾杯ー!!」

「わっ」


数人の低い声が鳴る。
Xは驚いて背を震わせながらも室内を覗いた。


「…しぐ!」
シグ「あ?…誰かと思えば姫さんじゃねーか」
ザル「なに?」
「ザゥディンもいるー!」

Xは室内に入った。


ルク「…X、こんな時間に…」
「あーっルクソォドさん!!」

立ち上がったルクソードに気付いてXは飛び付く。


「三人でなにしてるのぉ?」
シグ「酒盛り」
ルク「おい…!」
「さかもり?」
シグ「そーだ。うめぇぞ」

そう言うとシグバールは持っていたグラスの中身をいっきに飲み干した。


「わぁ〜!」

あまりに美味しそうに飲む姿を見たXは喉を鳴らす。


シグ「おめぇも飲みたいかぁ?」
ザル「いい加減にしろ」

笑って酒瓶を揺らすシグバールをザルディンは睨み付けた。


シグ「ははっ冗談だよ」

ルク「X、もう戻りなさい」
「…え…」
シグ「そーゆーこった。姫さんは静かに寝てな」


ルクソードはXを扉の前に下ろして優しく背中を押した。

「……。」
ルク「ほら…X、」

しかしXはルクソードのコートを放さない。


「…みんなといたい」
ルク「…しかし」
「パパもママも、いない」
シグ「そういや一夜漬け任務だな」
「………」
ザル「………」


「…ひとりぼっち…さびしいよ…」


ウサギのぬいぐるみに顔を押し付け泣き出してしまったX。


シグ「泣かせた〜ルクソードが泣か…ぐあっ」

ルク「X、こっちにおいで」
「…いいの?」

ルクソードは頷いて腕を広げるとXは笑って飛び込んだ。

ルク「早く血を始末したまえ。Xにつくだろう」
シグ「誰のせいだコラァ!」
ザル「お前のせいだろう」
シグ「はぁ?!」
ルク「それとトランプは綺麗にして返してくれよ」
シグ「畜生め!」

大人しく自分に刺さったトランプと血の処理をはじめるシグバール。


「これなぁに?」
ルク「お酒だ」
「飲んでもいーい?!」
ザル「未成年は駄目だ」
「みせいねん…?」
シグ「お子ちゃまには早いってハナシだ」
「………。」

自分が子供だということは重々承知のXは黙り込んだ。

ルク「ちょっと待ってろ」
「…うん」

ルクソードはXを膝から下ろすと部屋の奥に消えた。


シグ「コレやるからそんなむくれんなよ」

今だ俯くXにシグバールは缶を投げて寄越した。

ザル「なんだそれは」
シグ「疑ってんのかぁ?」

Xはゴクリと音をたてて飲む。

「…ジュースだぁ!あまずっぱい!」

シグ「な?」
ザル「……」


再び二人は酒を飲み始めた。



ルク「…時間がかかってしまったな」

その後、ジュースを持って戻ってきたルクソード。


ルク「X、飲み物を…」
シグ「おーぅルクソード!遅かったじゃねーか?」


そこに広がっていたのは殆どが空と化したボトルたち。

ルク「もうこんなに飲んだのか?!」
シグ「いやすげぇのなんの!」
ザル「こいつは大物になるな」
ルク「……まさか…」

「んぐっんぐっ…ぷはぁっ!!んまいーッ」

ルク「狽ィぃいいい!!??!!」

豪快に酒樽←を飲み干すX。


ルク「何をしているX?!」
「おいしー!じゅーす!…ひくっ」
ルク「お前ら何故止めなかった?!」
シグ「止めるも何もやったのはジュースだぜぇ?」
ザル「餓鬼の割りに良い飲みっぷりだ」
ルク「見損なったぞザルディン…お前は信用してたのに!」
シグ「秤エは?!」


Xは次の酒を漁る。

ルク「もう飲むな!」
ザル「飲みたがっているのなら止めるな」
ルク「Xの身体はまだ幼い!何かあったら指導者が黙っていないぞ!」
「「狽チ!!」」

顔を真っ青にした二人はXを囲む酒を急いで片付ける。

シグ「離せ馬鹿!もう終わりだ!!」
「やだぁあ!!!まだ飲むぅうう!!!」
シグ「ぐはっ」
ザル「狽チな?!」

「全てXのものだぁあ」

ルク「嚢?!」




【 ドランク 】



「…ひくっうひひ!」
「…Xが…」
「酒乱だったんだな…」

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