幼女

□添加物
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「ろくさす、何してるの??」


お腹を空かせてキッチンへとやって来たXは先客のロクサスに駆け寄った。


ロク「あぁX」

ロクサスは棚から取り出した物を台に置いた。


ロク「カップ麺作んの」
「かっぷめん?」
ロク「Xも食べる?」
「うん!!」


ロクサスは二人分のカップ麺を用意し、蓋をベリベリと剥がす。

そしてかやくとお湯を入れてタイマーを押した。


ロク「これが鳴ったら完成。熱いから触るなよ?」
「わかったよ!」


Xはカップ麺の前から動かずに、終始睨めっこをしていた。
そんなXを後目にロクサスは微笑みながら本を開く。


暫くしてピヨピヨという間抜けな鳥の電子音がキッチンで鳴った。

「鳴ったぁ!」

ロクサスは本を閉じると立ち上がる。


「ねぇっかんせー?!」
ロク「ちょっと待ってろよ」

ロクサスは食べれるように準備をし終えると、テーブルの上に置いた。


「ありがとう!」
ロク「…じゃあ」
「「いただきます!」」


ずずずっと音をたてながら勢いよくすする。


「おいひーっ!!!」

Xは目を輝かせて叫ぶ。


ロク「だろ?」
「ろくさすすごい!!」
ロク「作ったのは俺じゃないよ」

ロクサスは笑った。

ロク「俺はお湯を入れただけ。Xにも作れるよ」
「ほんと?!」
ロク「うん。明日作るか?」
「うん!!」



食べ終わったカップを捨て、二人はキッチンを出る。


サイ「X」
「ママ!」
ロク「俺もいるんですけど」

サイクスとすれ違う。

サイ「今日はオムライスだぞ」
「やったぁ♪」

ロク「あ、駄目だ完全にスルーだ」


サイクスはXの頭を撫でるとキッチンに入った。


ロク「よしX、遊ぶか!」
「遊ぶかー!!」


広間を走り回る。
二人で追いかけっこをしていると。


がっちゃーん

ロク「!?」

キッチンから崩れる音が。

「ママ?」
ロク「行こっか」


キッチンへ向かう。



ロク「煤cうわっ?!」

そこには黒いオーラを醸し出して立ち尽くすサイクスが。


ロク「ど、どうしたんだ?」


白目のサイクスが振り向いた。

サイ「…この…カップ麺は…」

その手には、今は二人の胃の中にある先程のカップ麺のゴミ。

ロク「…う、うん?」
サイ「…ロクサスが食べたのか?」
ロク「そうです…けど?」
サイ「…二つ食べたのか?」
ロク「え、いや、その、」

サイ「 Xにも食べさせたのか? 」

ロク「…はい」

ばりゃっ

ロク「狽ミっ」
サイ「何故食わせたぁぁああ!!???」

正しく鬼の形相、サイクスは持っていたカップを粉々に砕いた。


ロク「な、なにが駄目なんだよ?!」
サイ「どあほがぁぁあああ」

ばきっ

ロク「ぐはっ」
「ろくさすー!」


彼方に吹っ飛ばされるロクサス。


サイ「カップ麺にはな!食品添加物が一杯含まれているんだぁぁあ!!!!」

ロク「…食品…添加…物?!」

サイ「Xの繊細な身体が人工物に蝕まれていくんだぞぉおお!ロクサス貴様責任とれるのかぁ!?」


ロク「さーせんしたぁぁああっっ!!!」

スライディング土下座。


肩で息をするサイクスはXに詰め寄った。


サイ「X!!」
「な、なぁに?」
サイ「もう二度と!カップ麺を!食うなよ?!」
「え、あ、う…」

Xはいつになくマジなママの姿に顔を引きつかせる。

「…でも…」
サイ「駄目だ!」
「…おいしかったんだもん」
サイ「だから…!」
「…ママ忙しくても…X一人で食べれると思ったから…っ」
サイ「煤c!!」


ポロポロと涙を落とす。


「…おいしかったから…また食べたい…っ」
サイ「〜〜〜っ」
ロク「…おい?!」

サイクスは俯いて身震いするとキッチンから出ていった。


「…ママおこらせちゃった…」
ロク「大丈夫だよ。だから泣き止めよ。な?」

ロクサスはぽんぽんとXの背中を叩いた。



―――翌日。

サイ「X」

サイクスはロクサスと遊んでいたXにカップ麺を突き出した。

「いいのぉ?!」
サイ「あぁ」
ロク「お、おい?」

サイ「安心しろ。無添加カップ麺を作らせた」




【 添加物 】



「…もうむちゃくちゃだな…」
「ご苦労ヴィクセン」
「……気にするな」
(やつれてる!!!)

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