幼女
□ママの持ち物検査
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「ママ!」
駆け寄るとサイクスの足に抱きつく。
サイ「どうした?何かあったか?」
「…ママだぁいすき!!」
サイ「そうか、俺もだぞ…」
「ママの作ってくれたリュックも、だぁいすき!」
サイ「?」
訳が分からず首を傾げる。
「ママのリュックは魔法のリュック♪なんでも入る魔法のリュック♪」
踊りだすX。
サイクスはその背中で踊るウサギ付のリュックに目が止まる。
サイ(…見ない内に中身が増えている!)
サイクスは飛び回るXを捕まえる。
サイ「今から持ち物検査だ」
「けんさぁ?」
サイ「そこに座ってリュックを下ろしなさい!」
「…??…はぁい」
渋々言う通りにするX。
サイクスはまずリュックから飛び出すピンクのぬいぐるみを引き抜く。
サイ「正直に答えるんだぞ。これは?」
「お姉ちゃんがくれた!」
サイ「…ラクシーヌが?」
「うん!」
サイ(どういう風の吹き回しだ…?!)
とりあえずウサギを机に置く。
そしてジッパーの口を広げた。
サイ「狽ーっ!」
予想通りの荷物量。
痛む額を押さえながら一つ取り出す。
サイ「まずこれは授業用のノートと鉛筆だよな」
「うん!せんせから貰った!!」
予想通りの答えに安堵し、ウサギの横に置く。
サイ「こ、これは…?」
不気味に光る蛍光グリーンの液体。
「はかせ!」
サイ「ヴィクセンだと?いつの間に研究室へ!」
「最初の日、じゅぎょーの後に行った!」
サイ(狽ヘやっ!!)
「あいつから物を貰うな!そして行くな!」
「うん、だからいりませんってXはちゃんと言ったよ?」
サイ「…興味でも沸いたのか?とりあえずこれは捨てる」
「狽竄セぁ!返して!!」
Xは暴れる。
サイ「駄目なものは駄目だ!危なすぎる!!」
「…捨てないで…っ」
サイ「ぐっ…」
泣き出すXに負けたサイクスは瓶を机に置いた。
サイ(…いつかは処分してやる!)
次に出たのはアイスの棒。
サイ「汚い…!」
「あたりなの!今度四人で食べるの!!」
サイ「…分かった。だがせめて何かに包め」
サイクスは棒を封筒に入れて瓶の横に並べた。
次に出したのは何かの種。
「マルからだよ。今度植えようって!」
サイ(…マールーシャめ。晩飯に針を入れてやる)
サイ「…この花は…」
「それもマル!」
サイ「ま、た、マールーシャか!!」
「Xとマルの仲のように枯れることをしらない…だって?どういうことぉ?」
サイ「バァアサァーク!!!!」
ついにキレたサイクス。
あたふたするX。
するとそこへパパ登場。
ゼム「サイクス」
「パパっ!!」
駆け寄るX。
ゼム「よぅしよし。もう大丈夫だ…。」
Xを抱き上げたゼムナスに気付きサイクスは我に返った。
ゼム「一体どうした?」
サイ「いや、実は…」
状況を説明するとゼムナスは笑った。
ゼム「ふむ…減給にしてやろう…」
サイ「半分以上減らしてやれ」
「へらしてやれぇ!」
訳が分からずとりあえず復唱するX。
哀れマールーシャ。
ゼム「持ち物検査はこれで最後か…?」
サイ「…いや、まだ残っている」
最後の一つを取り出した。
「「…サイコロ?」」
「あっだめぇ!!」
サイ「!」
Xは飛びかかってサイコロを奪い返す。
「ルクソォドさんのだから!」
ゼム「…ほぅ。彼からとは…珍しい」
「大切なものなんだって」
サイ「何故そんなものを…」
「こんやくゆびわ、の代わりだって!」
「「バァアサァーク!!!!!!」」
どーん
【 ママの持ち物検査 】
(…寒気がするな)
(風邪かぁ?それとも危険が迫ってるってハナシ)
(…前者であってほしいが何故か後者だとギャンブラーの血が言っている)