幼女

□ルクソォドさん
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地下階段から地上へやって来たXだったがあまりに空腹で目が回りはじめた為、とりあえずキッチンを探し始めた。


しかし、来てばかりのXにとってこの城はただの迷路。


「…どこ?」

10秒で迷子。



「…うぅ…」

空腹感と同時に不安が沸き起こる。


「…パパ…ママ…っ」

ついに泣き出してしまったX。



「ーーうわぁぁんっ!!」



すると

「ひっ!?」

巨大なトランプ達がXを取り囲む様に出現しクルクルと高速回転し始めた。

回転したかと思えばそのトランプ達は白い鳩へと姿を変え、一人の男が現れた。



ルク「お困りかな、お嬢さん?」

「…鳥さん!すごい!かっこいい!!」


ルクソードはしゃがみこみ、Xの手をとった。


ルク「ルクソードだ」
「…X…です…っ」
ルク「君は何故泣いてたのかな?」
「ぇと…っ」

ぐぅぅ。
言うより早くXの腹の虫が鳴った。
ルク「お腹が空いてるんだね」
「きっちん、にゆけば食べ物があるってママが…」
ルク「成程、場所を知らずに迷子になってたのか」

コクコクと頷く小さな幼女をルクソードは抱き上げて微笑んだ。


ルク「ご安心を。私が連れていってさしあげよう」
「ほんと…?!」


そしてルクソードは目印になる建物を指しながらキッチンまでの道をXに教えた。





―――キッチン。

ルク「さぁ着いた」
「やったぁ!」

ルクソードはXをゆっくりと床に下ろした。


「ありがとうございました!」
ルク「どういたしまして」
「ルクソォドさんは優しいね!」
ルク「紳士として当然の事をしたまでさ」
「しんし?」
ルク「紳士はレディに優しく、男に厳しく」
「ふぅん…。よくわかんないや」
ルク「どんな女性にも優しくするのがルール。いつか分かる時が来るさ」
「でも王子様みたいだったよ!」
ルク「それは嬉しいな」

Xの頭を撫でる。


「…あの…、」
ルク「どうした??」


「ルクソォドさん、いつかXをお嫁さんにしてね!」

ルク「…!」


満面の笑み。


「それで、いっぱい鳥さん出してね!!」

ルク(……先程の手品のこと、か…)
「…そういうことなら、」


ルクソードはどこからともなく真っ赤なクリスタルのサイコロを取り出した。


ルク「大切なものなんだ」


そしてXの小さな手に収めた。


「きれぇ…!!」


ルク「婚約指輪、の代わりに受け取ってくれないか?」


Xは頬を染めて破顔した。


「たいせつにします!!」




【 ルクソォドさん 】



(…鳥さん、か。少し期待してしまった。)

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