幼女
□パパ
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「…私の…キングダムハーツ…」
「…わたちの…きんぐだむはーつ…」
「……??」
リピートされる音に振り向くと
宝石の様な紅い瞳を持った小さい幼女が、その月に向かって両手を…つまりゼムナスと同じ格好をして立っていた。
「…君は?」
「XはXだよ」
銀メッシュの入った艶やかな黒髪は何故か星屑を纏う。
「…どこから来たのだ…?」
「あそこだよ!」
(…キングダムハーツ…?)
あろうことかその幼女の示す指先には金色に輝くキングダムハーツが。
「お星さまにのって、あのおおきなお月さまからきたの」
Xが笑うと一筋の流れ星が走った。
「あなたはだぁれ?」
「私は…ゼムナス」
幼女への興味が勝ってゼムナスはあっさりと名乗ってしまった。
「ぜむなすもお月さまからきたの?」
「いや…私は…あそこから」
静寂と建つ巨大な城を指差した。
「かっこいい!!」
「…行く所は?」
「………」
幼女の紅い瞳が揺れる。
「…来なさい」
その声にXは笑顔になった。
また星が流れた。
ゼムナスはXを抱き上げると歩きだした。
「X、親は…?」
「パパとママ??」
頷くとXは黙り込んだ。
抱き返してくるその力が全てを物語っていた。
「…私が…Xのパパになってやろう」
「…ほんとう?!」
空にはたちまち流星群が降り注いだ。
【 パパ 】
(…心が無いのに情がわくのは何故か。)