無N2

□愛しのお師匠様5
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何が、どうして、こうなった…。


「もういっぱーい!」
「ちょ、もう駄目っすよ!」
「いやだ!のむ!!」
「三蔵、いい加減に…」


いや、どうしてもなにも…酒を飲ましたからには違いないのだが。

三蔵がここまで酒癖の悪い奴だったとは!


最初の内からかなり飲むペースが速いとは思うたが…
今も虚ろな目で杯に口をつけている。
普段の清い三蔵からは考えられん。


「…だから飲ますなっつったんだよ糞ジジイ…!!」

悟空に睨まれる。
あぁ、こやつは空上戸だったな。顔色一つ変わらん。
それに比べて三蔵は…


「…酒にはあまり強くない印象だったから最初の一・二杯こそはぐいっといってほしくて、な」
「一・二杯どころじゃ済まされねーよ!このままじゃ明け方まで飲み続ける…っ」
「…そ、そんなにか?」
「最終的に介抱するのは俺なんだぞ!!!」
「…すまなんだ」
「大変なんだよ…色んな意味で!」
「どういう意味じゃ?」


疑問に思い問いかけた瞬間、女カが実力行使に出る音がしたもんだから二人とも一斉にそちらへ視線を動かす。


「三蔵立つんだ、一度外の空気を吸ってこい!!」
「いや!まだ飲み足りないもの、女カさんももっと飲もうよ?」
「私もお前も十分に飲んだだろう…?」
「まだだよ!」
「もう飲むのは止めだ!」
「いや!!」
「駄目だ!」
「いーや!」
「……っ」

あ。
女カのこめかみに…血管が…
まずい…


「いい加減にしろ!!!」

「!!」

やっぱり…。
女カの怒号に三蔵は肩を震わせる。儂など怒られなれとるからまだ平気だが…


「…ぅ…」

「「「げ!!」」」

「…うぅっ…!」

だぁーー!三蔵が、泣いてしもうた!!


「女カ、テメェ!!」
「ま、まぁ落ち着け悟空!」
「離せ伏犠!何であろうと泣かせることは許さねー!」
「仕方あるまい、私だって泣かせようとした訳ではない!」
「お師匠様は他人から怒鳴られたりしたことがねーんだ、ヒト一番繊細なんだよ!」


成る程そうか…!
流石一番弟子じゃ。悟空も三蔵のこととなると必死さが違うのう。急に理性の利いた知的な奴に見える。

女カも理由に納得したのか慌てて座り込むと三蔵をあやし始めた。

「…す、すまない三蔵。少々強く言い過ぎたな」
「…うっ…ぐすん」
「泣かないでくれ…私が悪かった」


おお!あの女カが謝ったぞ!
儂なんてどんなに正しくてもすまんのすの字も聞いたことがないのに…

「…ひくっ」
「笑ってくれ…な?」
「じゃぁ…」
「ん?」

「のんでも、いーい?」

「ーーーー」


「…ぁ〜あ…やっちまった!」


ぐあ〜!なんちゅう色目の使い方じゃ!!
酒で紅潮した頬に涙目で迫られちゃぁ…

「…くぅっ//」

そうなるじゃろう女カでさえも!!

「じょかさん…」
「〜〜〜ッ」
「いいでしょ…?」

女カは歯を食い縛ってこちらへ振り向くと物凄い剣幕で悟空に詰め寄る。


「な、なんだよ」
「後は任せた!!」
「え?!」
「最早お前しか無理だ!」
「い、嫌だよ!」
「何を言っている!嫌がる理由もないだろう?!」
「いや、だから、その」

渋る悟空。

「いけ!」
「いやだ」
「氷漬けにされたいか?!」
「うっわ…性格悪!」


ドンと背中を押され渋々三蔵の元へ向かう悟空の後ろで、今だと言わんばかりに女カは卓や床に転がる酒瓶を持って部屋から出ていった。

…ふむ。頑なに嫌がる理由は知らんが…頑張るのじゃ悟空!←人事



「お師匠様、そろそろ宮に帰りましょう」
「まだのむ。ごくうものもう!」
「俺は十分飲みましたよ」
「のんでない!だってかお赤くないもん」
「っ!」

三蔵は悟空の頬に手を添えた。
な…何だが…妖しい雰囲気に感じるのは儂だけか。


「お、俺は変わらない質だったでしょ」
「そっか」
「ほら、だからもう帰りましょう!」
「…ごくうまでそんなこと、いうの?」

出た!赤面涙目!!

「ち、違いますよ。…そろそろ寝たいと思って!うん、それに湯に浸かりたいし!?」
「……」

そうきたか〜。いい言い訳じゃな。
三蔵もキョトンとしとる!この調子なら、

「…そっかぁ」
「「お」」
「ごくうはねむたいのね?」
「そうっす!無茶苦茶眠いっす!もうね、今すぐにでも…」

「じゃあここでいっしょにねよう!」

「…え。うわっ?!」
「さ、三蔵!」


どこにそんな力があるのか、三蔵はバタンと悟空を押し倒した。


「ま、待ってお師匠様!」
「まてないよぉ」
「ちょ、ホント、退いてくれ!」
「なんで?ねむいんでしょ?」
「だからそれは自宮で……ひぃぃっ?!」
「ふふふ」

抱き枕悟空!!
う、羨ましくなんか…ないわいっ

「お師匠様ぁ!離せよ〜!」
「…いや?」
「えぇ…」
「わたしのこと、いやなの?」
「ちが、そうじゃなくて…っ」
「そぅじゃなくて?」

(可愛いけど、面倒くせぇ!!)


こ、こんなところを誰かに見られたら堪ったもんじゃないぞ!女カ、はよう戻ってこい!


「す、好きですよそりゃ?」
「ホント?」
「誓います!だから…」
「わたしもごくうがだいすきよ!」
「ぃいッ?!」
「ちゅぅ!」
「ぎゃぁあ!待っ、落ち着いて下さ、」
「ごくぅ♪」
「うぁああぁあーー伏犠ィイイ助けろォオオ」
「いや、その//」
「テメェが照れてどーすんだエロジジ…あぁああッ」




【愛しのお師匠様5】



「何をしている三蔵!」
「女カ!」
「…zzz」
「寝たし!!」

「大丈夫か悟空!」
「…毎度こうなるから嫌だったんだ…ぐすっ」

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