零崎意/人識の人間再回

□プロローグ/設定
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「……あ、」
「…かは、」
咄嗟に身をかくした場所には、たまたま僕がいた。実に5年振りの感動の再会だ。まさに戯言。
その空間の中には生臭い、何か鉄のような不快すぎる匂いがむせかえっていて。
…零崎の血液だった。致命傷をおっているようだったが、意識をたもっている事に関しては流石としか言いようがなかった。
……いや、致命傷うんぬんはぼくも人の事は言えない。まさに戯言。いや、傑作か。
「久しいな、俺」
「そうだな、ぼく。そしてやっぱり僕は殺されかけている。今度は僕が助けてくれなかったけどな」
「俺が悪いみたいじゃねーか」
「その通りだ」
「かはは、傑作だな」
「いや、戯言だろ。」
いつもどうりの会話だった。
…血が、足りない。
「…ねぇ」
「ん?」
「友が殺された」
「…」
零崎は黙った。かなり珍しいかもしれない。
「何てったってビルごとあぼんだぜ?考えられないよ」
「…かはは。流石鏡って所か?…俺もだ」
「…え?」
「妹はもちろん、家賊あーんど一賊全滅」
今度はぼくが黙る番だった。
「しかも俺のいない時を狙ってな。タチが悪すぎるぜ、全くよ」
「…戯言だ」
「傑作だろ」
零崎がもうない力を出して立つ。ひょろひょろの零崎はもしかすると最初で最後かもしれない。さっきのよりさらに激レアだ。
ぼくも立ち上がる。零崎以上にひょろひょろだった。情けない。
「…行くか」
「そうだね」
「「…吹っ切れてやんよ」」

どうやら死亡時刻は寸分違わず同じだったらしい。
誰と誰が、なんて戯言は察して欲しい。

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