Original Story

□Prologue
1ページ/1ページ


『はあっ、はあっ…!!』


激しく息を切らし
全身傷だらけ

頭からは血が垂れており
両手に持っている剣を強く握りしめ、
"何か"と対峙している1人の少女


建物の中は薄暗く
かなり湿っぽい

光といえば少女が入って来たときに
開けたままの扉から漏れ混んでいるものだけだ

窓にはこけやツルが
こびりつき、光なんてものは
届いていない



そんな暗がりの中
少女は隙を見せまいと
"何か"から決して目を離さない


油断すれば自分が殺られるだろう。
だがその"何か"も同じで
決して隙を見せようとしない

そんな緊迫とした中、突然
"何か"が不気味に笑い出した。

甲高い声、いや
音波と言った方が正しいだろう
特殊な私"たち"のような者にしか
聞こえない

そんな高音の音波を発した

少女はその音が不快なようで
両耳を塞ぐ


『っ……な、に…?』


思わず両目をつぶってしまっていたが急いで目を開ける

すると、とんでもない光景が
飛び込んできた


"何か"が…出てきた
それは言葉通りで

床から新しい"何か"が
出てきたのだ

『!!! な、仲間とか聞いてないっ!! 1匹ってしか言ってなかっ、!!!』

言葉の途中で少女は
思い切り横に飛んだ

少女の言葉を途中で遮ったのは
"何か"たち

攻撃を仕掛けられた少女は
横に飛び避ける


少女は苦虫を噛み潰したような顔になり

"何か"から十分な距離を取る

深く深呼吸をすれば
決意をしたように、言葉を紡いだ


『…やるしかない、っか』

足に力を入れ飛びかかろうと
したその瞬間


バリーン!!!と大きな音が辺りに響き渡った

こけやツルだらけの窓が割れ
そこからこの建物とは無縁だった
光が差し込んでくる

ガラスの破片が外の明かりに
照らされ、割れた原因であろう
"それ"を照らす


「救世主の到着だあぁあ!!!」


そして現れたそれは、そのまま
いとも簡単に"何か"を真っ二つに
切り裂いた


光に目が慣れ、それが少女と
同じ歳くらいの少年だと分かる


『な、なな…何で来たの!!』


現れた少年は少女にとって
見知った顔のようで、目を見開き
指をさしそう叫んだ


「おー?…何だお前傷だらけじゃんか」

必死な少女とは反対に
余裕そうな少年はニシシと笑う


そして少女の隣に行き
頭に手を置けば数回ポンポンと
撫でた


『っ〜〜///なによ』

「いんやぁ、でかい口叩いて飛び出してったわりに
ボロボロだなあーと思って?」

その言葉を聞いた瞬間
少女は少年の手を払いのける

『今からやろうと思ってたところよ!!!』

それを聞いた少年は、ふーんと
ニヤニヤしながら"何か"の方を向いた

そしてまた、"何か"は音波を発し
床から這い出り、仲間が増える

『あぁ、もう!! さっさと片付けて帰ろ』

頬を膨らます少女を横目に見ながら
少年は構えている剣を握りしめる

少女の合図で二人は、"何か"に飛び掛かった
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ