赤い光

□7時間目
1ページ/6ページ



ソファーの前にカエデ、神崎さんが座らされる

足を縛られているため動けない私は
リーダー格の男がなんと姫抱き

ふざけるのも大概にしやがれ
そんなことを思っていると
ドサリと二人の前におろされた


「ここなら騒いでも誰も来ねえな」


連れてこられたのは
どこかの潰れたBARだろうか

確かに騒いだところで
誰も来ないことは明らかだ

他の男が電話をしてるのが見える
きっとこの男の命令で仲間を呼んでいるのだろう


その仲間とやらが来るまでの間
クズ共は酒やタバコを片手に
下品に笑って少し離れたところで話している


その様子を見てか、カエデが神崎さんに話しかける

「…神崎さん、そういえばちょっと意外
さっきの写真。真面目な神崎さんもああいう時期あったんだね」

何か嫌なことでも思い出しているのだろうか
俯きながらも話してくれた


「うちは父親が厳しくてね
良い学歴、良い職業、良い肩書きばかり求めてくるの

そんな生活から離れたくて名門の制服も脱ぎたくて知ってる人がいない場所で格好も変えて遊んでたの

…バカだよね
遊んだ結果。得た肩書きは"エンドのE組"もう自分の居場所がわからないよ」


『……エンドのE組、ねぇ
前までの貴方達のことは知らないけど

今の貴方達のことは少し分かってるつもりよ
皆、楽しそうで輝いてる。
私にはそう見える。

それに居場所は誰かが決めるもんじゃない
神崎さん、あなたが決めることだよ

肩書きも関係ない
そんなもの気にするだけ無駄だよ

神崎さんは…神崎さんなんだから
今を楽しまなきゃ』


気休めにでもなればいい
今まで暗殺者、その肩書きに
何も好きなことを出来なかった私

でもこの子達は違う
まだ未来がある、色んな可能性がある

こんなとこで息詰まって欲しくない

―だから大丈夫。
そう言おうと思った直後
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ