きみを笑顔にさせるには。

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面倒くて朝練をさぼって音楽準備室で居眠りしとったら、開いたドアから綺麗なピアノの音が聴こえてきた。

で、曲に聴き惚れとったら、弾いとるやつの顔が見てみとうなったんじゃ。





「お前さん、上手じゃのう。」

そう言いながら近付くと、その女子生徒は無表情でこちらを見た。


…えらい別嬪じゃ


「…月光、じゃろ?今の。」

そう続けても、その別嬪はこちらを見てるだけでなんの反応も無い。

そしてそのまま立ち上がると音楽室を出ていこうとする。


「ちょっと待ちんしゃい。」

思わず肩を掴んでこっちを向かせる。

こちらを向く整った綺麗な顔にドキリとする。

「お前さん、見ない顔じゃけん。転入生か?」

そう聞くと、

「………………」

コクリ

大分間があったが頷いた。

「…3年か?」

「………………」

コクリ

やはりまた大分間があったが頷いた。

「そうか。俺もじゃき。」

「………………………」

しゃべらんのぅ


すると、

「…じゃ。」

そう呟いて、別嬪は廊下に出ていった。



「仁王雅治ナリ。覚えときんしゃい。」


思わずその背中に向かってそう言っていた。

反応は無かったがとりあえずは満足だ。




「名前はまた今度聞くとしようかのぅ。」


同じクラスだといいナリ。

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