きみを笑顔にさせるには。
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まだ全然生徒の通りが無い廊下を歩く。
色々と見て回っていると、ある教室の前で立ち止まる。
(音楽室…)
ガラリ
中に入ってみるとすぐに、立派なグランドピアノが目に入る。
そっとピアノに近付く。
(少しだけなら…)
そう思い、椅子に座って鍵盤の上に手をそえる。
そして目を瞑り、もう手が覚えてしまっている曲を奏でる。
ピアノソナタ第14番「月光」。
ベートーヴェンの代表曲だ。
何も考えず、ただただ無心に弾く。
静かな音楽室にピアノの音だけが響く。
ジャーン
最後の音を鳴らし、曲が終わる。
「お前さん、上手じゃのう。」