きみを笑顔にさせるには。

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「やっべ!遅刻だ!!部長に怒られるー!!」

俺、切原赤也は、今廊下を全力疾走している途中だ。

理由はお分かりの通り、部活の遅刻だ。

「副部長の鉄拳くらうだろうな…」

思わずブルッと身震いする。

仕方ねぇ、近道するか…

テニスコートへの近道は、あの角を曲がった所にある職員室前の廊下だ。





廊下を猛ダッシュで曲がる。




しかしここで、マンガ的展開を迎えることになる。

「!!危ないっ!!!」

どんっ

ちょうど職員室から出てきた女子生徒と思いっきり衝突してしまったのだ。




「ってぇ。すんませんっ!!大丈夫っすか!?」

慌てて立ち上がり手を差し出す。

すると、その尻餅をついた女子生徒は顔を上げた。



……すっげー美人。

まず思ったことはこれだった。

透き通るような白い肌、血色のよいピンクの唇、きれいな二重の瞳。




「………大丈夫」

見惚れている間にその美人は立ち上がりスカートをパンパンと叩いた。

うわ、スタイルもいいんだ…

スラリと伸びた白くて細い足。

背は自分よりは低い。

160ちょっとだろうか。


「…じゃ。」

そしてそのまま、美人は去っていこうとする。


このまま終わりはもったいねぇよなぁ…

「あ、あの!俺、切原赤也っす!!」

なんとか自分の名前は言うことは出来た。


しかし美人は、聞こえてるのか聞こえてないのか、無反応でそのまま去っていった。



「…反応無し、か。」

まぁ、同じ学校なんだからまた会えるだろ!

てか、あんだけ美人で今まで知らなかったってことは、転入生だよな…、先輩か…?



「おぅ、切原。お前、そんなとこに突っ立ってどうした?朝練は?」

ぼんやりと廊下に立ち尽くしていると、担任が声を掛けてきた。


………朝練?

バッ

思いっきり時計を見る。

サーと青ざめる顔。

「お、おい切原??」



ダッ!!

全力疾走ですぐさま走る。



「おい切原!!廊下走るんじゃねぇ!!!」


担任の怒鳴る声が聞こえるが今は構っている暇は無い。


部長に殺される…!




朝のテニスコートに俺の叫び声が響いたのは、言うまでも無い。

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