短編

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「凛先輩のお弁当、いつもおいしそうっすよねー!」

「切原。」

私は私のお弁当を羨ましそうに見つめる切原に声を掛ける。

「?なんすか?」

「どうして切原は私なんかのところにいつも来るんだ?」

そう私が尋ねると、切原は目をぱちくりさせながら私を見た。

…可愛い。

「なんかなんて言わないでください!凛先輩は一見そっけなそうに見えて実は優しい人って俺知ってるっす!!今だって結局、一緒に昼飯食べてくれてるしっ」

「………。」

何を言うかと思えば…この子は。

「…凛先輩?」

私が黙って俯きながらお弁当を食べだすと切原は不安そうな声を出した。

ちらりと見ると、耳が垂れ下がってシュンとして見える。

耳はもちろん犬耳だ。

「切原、」

「はい?」

また声を掛けると切原はこちらを向いた。

「…口、開けて。」

「…へ?なんす…!ふがっ」

ぽかんと開けた切原の口の中に私の卵焼きを突っ込む。

「?凛先輩?」

ごくんと卵焼きを飲み込んだ切原は、急な私の行動に目を瞬かせていた。

「…おいしい?」

私が俯きながら尋ねると、少しの沈黙の後、

「最高においしいっす!!」

と言う声が隣から聞こえた。

「大げさだなー。」

そう言いながら切原の方を向くと、

「大げさなんかじゃないっすよー!!」

すごい満面の笑顔でこちらを見る切原がいた。

ああ、ブンブン振られるしっぽが見える…

私はそんな切原の頭をよしよしと撫でた。

ふわふわ…

「凛先輩…!!大好きっす!!」

切原に抱きつかれながら、私はこう思ったのだ。





たまにはこんなワンコな後輩になつかれるのもわるくないかも、と。

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