あなたと一緒に。
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「「お疲れ様でした。」」
部活が終わった。
片付けをしているお兄さんを横目で確認しながら、私も片付けをする。
(ふぅ。片付け終了。)
それから、更衣室で着物から制服に着替えて茶室に戻ると、すでに着替えていたお兄さんが待っていた。
「お待たせ。ごめんね。」
トタタとお兄さんに駆け寄る。
「大丈夫だよ。春には先に祐希を迎えに行ってもらったから。」
「そっか。」
「……。」
「……。」
(理由、聞かないと…。)
「あの…!」
「あの…。」
「!」
勇気を振り絞ってお兄さんに声を掛けたら、見事にお兄さんとシンクロしてしまった。
「あ、椎名さん、先にどうぞ。」
「いえいえ、お兄さんから言って下さい。」
「いや、椎名さんから…。」
「いや、お兄さんから…。」
「……。」
「……。」
「…じゃあ、先に言わせてもらい、ます。」
「はい。」
しばらく壮絶な譲り合いが続いたが、先に折れたのは、お兄さんの方だった。