あなたと一緒に。
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「……。」
「……。」
「……。」
「悠太たち、部活行かなくていいの?」
私とお兄さんと松岡くんが沈黙している中、沈黙の原因である祐希くんがマンガを読みながら私たちに話掛ける。
「あっ、大変です!悠太くん、椎名さん、行かないとです!」
「あ、うん!」
松岡くんの慌てた声に私も慌てて返事をする。
「……。」
「悠太くん?」
しかし、お兄さんだけは、じっと祐希くんの方を見ている。
(…睨んでる?)
そう思ってしまうほど、なんだか雰囲気が怖い。
「何、悠太。」
そんな視線に気付いてか、マンガからチラリと視線をあげて尋ねる祐希くん。
「…別に。」
そんな祐希くんにそれだけ呟くと、くるりと振り向き、スタスタとドアに向かうお兄さん。
「あ、悠太くん!」
そんなお兄さんを追いかける私と松岡くん。
「じゃあね。…千秋。」
「!」
祐希くんが私の背中に向かって声を掛けた。
(また、下の名前で…!)
ピクリ、とお兄さんの肩が揺れた気がした。