あなたと一緒に。

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…放課後になりました。

「椎名さーん!部活行きましょー!」

松岡くんが笑顔でトタトタと私の所まで走ってきた。

後ろからお兄さんも、のんびりとやって来る。

ちなみに、塚原くんは、生徒会の仕事があるそうで、さっさと教室を出ていった。

…私は結局、茶道部に入部することにし、お兄さんや松岡くんと一緒に行くようになっていた。

「うん、すぐ準備するね。」

「ゆっくりでいいですよ。」

「ありがとう。」

私と松岡くんが話していると、お兄さんが私の前の席でマンガを読んでいる祐希くんに話し掛けた。

ちなみに、祐希くんが読んでいるマンガは、私が貸したマンガだ。

気に入ってくれたらしい。

「祐希。じゃあ、部活行くけど、いつも通り待ってる?」

「うん、悠太と椎名さんと帰る。」

「了解。」

…私とお兄さんと祐希くんは、一緒に帰るようになっていた。

私の家と2人の家が、徒歩1分ぐらいの距離だったのだ。

「よし、準備完了です。お待たせしました。」

「いえいえ、では、行きますか!」

私はリュックを背負う。

一応、茶室に持っていくようにしている。

「では祐希くん、行ってきますね。」

「じゃあね、祐希。」

「んー。」

松岡くんとお兄さんの声に返事をした祐希くんが、私の方を見てきた。

「行ってきます、祐希くん。」

笑顔で言うと、

「行ってらっしゃい。椎名さん。」

と返してくれた。

「小春もバイバイ。」

なぜだか、扉の蔭から、じっとこちらを見てくる小春にも言っておく。

「千秋ー!!最近全然構ってくれないから寂しいー!!」

ガバリと抱きついてきた。

「ごめんね、また今度遊ぼうね。」

よしよしと頭を撫でてあやす。

「うん、絶対だよ!」

パーと効果音が出そうなほどの笑顔の小春。

そして、私から離れると、

「浅羽兄弟に松岡春!千秋と1番仲がいいのは小春なんだからね!」

ビシッと3人を指さして言った後、舌をつきだして威嚇した。

「えっ!」

「ちょっと小春!」

オロオロした顔をする松岡くんに無表情のお兄さんと祐希くん。

反応は様々だが、とりあえず小春をたしなめる。

すると、黙っていた祐希くんが、

「いやいや、俺たちの仲だって相当ですよ。ね、千秋。」

と、さらっと言ってきた。

「えっ!祐希くん!?」

急に下の名前を呼ばれて狼狽える。

「あ、あんたになんて負けないんだからー!!」

そう叫びながら小春は教室から出ていった。

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