あなたと一緒に。

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「椎名さーん!プリント遅れてごめん!」

「あ、はい、大丈夫です。」

…始業式から2週間ほど過ぎた。

大分クラスに馴染めているのはいいが、副委員長ともなると、やることが地味に多い。

今も、提出しなくてはいけないプリントを出していない人に、直接集めに行っている。

「後は…、浅羽くんか。」

名簿を見ながら、またか、と溜め息を吐いて浅羽くんの元へと向かう。

浅羽くんは、提出期限無視の常習犯だ。

浅羽くんの机の前に着くと、浅羽くんは、机に突っ伏して眠っていた。

「浅羽くーん。起きてくださーい。」

「……。」

とりあえず、浅羽くんに声を掛けたが、起きる様子は無い。

(ふーん、ここまでは想定内です。)

今までの経験から、ニヤリと笑い、私は言った。

「あーあ、せっかく浅羽くんにオススメのマンガ貸そうと思ったのになぁー。」

ガバッ。

浅羽くんが飛び起きた。

「浅羽くん、おはよう。」

にっこりと笑って挨拶をする。

すると、浅羽くんは手を私の方につき出すと、

「マンガ、下さい。」

と言った。

(この子は…。)

「まず、このプリント出して下さい。マンガはそれからです。」

プリントをヒラヒラさせながら言う私を浅羽くんは恨めしげに見るが知らんぷり。

「そんなプリント知りません。」

あ、浅羽くんが拗ねた。

「知らないじゃありません。ほら、プリントあげるから今やって下さい。」

浅羽くんの机の上にプリントを置く。

そのプリントとは、数学の基礎的なプリントだ。

「やだ、めんどくさい。」

プイッとそっぽを向いてしまう浅羽くん。

(むむ、負けないぞ!)

「そんな子には、マンガ見せてあげません!」

ピクリ。

浅羽くんの肩が揺れた。

次の瞬間。

「…出来ました。」

「はやっ!」

目にも止まらぬ速さで解いておりました。

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