あなたと一緒に。
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「浅羽せんぱーい!これこっちで大丈夫ですか?」
「うん、そっちで大丈夫。」
「春ちゃんせんぱーい!着物がうまく着れませーん!」
「大丈夫ですか?すぐ直してあげますからね!」
(うわー、2人とも大変だなー。)
他の部員が来てから、お兄さんと松岡くんは大忙しだ。
(頼られてるんだなー。)
そんなみんなを私は、端の方でボーと見ている。
「椎名さん!」
「松岡くん。どうしたの?」
突然、松岡くんが私の目の前にやって来た。
「椎名さんも、お茶飲んでいきませんか?見てるだけじゃつまらないでしょう?」
「ありがとう。でも私は見てるだけで楽しいから大丈夫だよ。松岡くんたち忙しいんだし、気にしないで。」
「そうですか…。では、いつでも声掛けて下さいね!」
そう言って、松岡くんは戻っていった。
どうやら松岡くんは、私を気遣ってくれたようだ。
(松岡くんは優しいなぁ…。)
しみじみと思いながら、再びみんなを眺める。
(そう、私にはまだ見ているだけで十分。)