あなたと一緒に。
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(茶室に行くのなんて、お母さんが亡くなる前以来だよ…。)
考えないようにしても、考えてしまう自分に嫌気がさす。
いや、でもいつかは考えないといけないことだ。
(もうっ!)
混乱した頭をブンブンと振る。
「…ぶっ!」
前を歩いていたお兄さんがまた急に止まったので、前を見ていなかった私は、見事にお兄さんの背中に顔が衝突したのだった。
「…いっつぅー。」
あまりの鼻の痛さにしゃがみこむ。
涙まで出てきた。
「えっ。大丈夫ですか?」
お兄さんがびっくりした顔をして、私の前にしゃがみこんだ。
そして、あろうことか、私の顔を心配そうに覗き込んできたのだ。
(顔近っ!)
思わずズザザーと後ずさる。
「だだ大丈夫です!!」
「いやでも…。」
「本当に大丈夫です!あ、着きましたね!よし、じゃあ入りますか!」
「え。あ…。」
ガラッと茶室のふすまを開ける。