あなたと一緒に。

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「そういえば、春はどうした?」

ふいに塚原くんが、思い出したように浅羽くんのお兄さんに聞く。

「しゅん…?」

初めて聞く名前に首を傾げる。

「あー、そういや椎名にはまだ教えてなかったな。」

塚原くんが頭をガシガシ掻きながら教えてくれる。

「松岡春。あいつらじゃないもう一人の俺の幼馴染み。あ、ちなみに男な。」

「松岡春、くん。」

(会ってみたいなぁー。)

「春なら部活の準備のために先に向かったよ。」

塚原くんの質問にたんたんと答えるお兄さん。

「向かったよって、お前なぁ。手伝ってやれよ。」

塚原くんが呆れた目でお兄さんを見る。

「いやー、祐希に待つのか帰るのか聞いたらすぐ戻ろうと思ってたんですが…。」

チラリとお兄さんが私の方を見た。

「?」

(なんだろう?)

「…いや、なんでも無い、です。祐希はどうするの?待つの?帰るの?」

「…んー。アニメージャ読んで待ってるー。椎名さんも一緒に待ってようよー。」

浅羽くんが私の制服の裾を軽く引っ張りながら言う。

「こら、祐希。椎名さんにも予定があるんだからね。」

お兄さんが浅羽くんをたしなめる。

「むー。椎名さん、なんか予定あるの?」

「あ、うん…。ごめんね、浅羽くん。ちょっと寄りたい部活があって…。」

(ここだけは、絶対に行かないと。)

「…部活?どこ?」

(本当は、あんまり行きたくない。泣いてしまうかもしれないから。)

「……茶道部、です。」

(お母さんとの、思い出の場所……。)

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