あなたと一緒に。

□15
1ページ/1ページ

「あの…、椎名さんって、朝の?」

それまで私たちのやり取りには参加していなかった浅羽くんのお兄さんが私に尋ねる。

「は、はい。あの時はありがとうございました!」

「いえいえ。どういたしまして。」

「悠太と椎名さん、知り合いなの?」

「あー、朝にちょっとねー。ね?」

「は、はい!」

お兄さんに同意を求められて、コクコクと頷く。

「…ふーん。」

「祐希こそ、椎名さんと仲良いじゃん。」

「そうですね、仲良いですね。」

「え。」

(あれでー!?)

「あ、そこは認めるんですね。でも、椎名さん、嘘。みたいな顔してますが。」

「椎名さん、ひどーい。」

「だって…。」

塚原くんの後ろに縮こまる。

「あらあら、要になついてますねー。」

「…なんで要なんかに。」

「なんかってなんだ、なんかって!」

「そのまんまの意味ですー。」

「祐希、待てゴラァ!」

浅羽くんと塚原くんの追いかけっこが始まった。

「アハハー。仲良いですねー。」

「そうですねー。あの、椎名さん。あそこで縮こまってる方は放っといていいんですか。」

お兄さんの目線をたどると、

「いつまでそうしてんの、小春。」

教室の隅で縮こまる小春がいました。

「千秋ー!ごめんねー!勝手に撮ってー!副委員長にもさせちゃって!」

ガバッと小春が抱きついてきた。

「だいじょ…え?副委員長?」

「あ。」

小春がしまったという顔をしている。

「小春ー?どういうことか説明しなさい!」

「どうもこうも、こいつがお前を副委員長にさせたんだよ。お前がやりたいって言ってるって。」

浅羽くんを引きずりながら塚原くんが説明してくる。

「え!?小春どうして?そんなこと一言も言ってないよね?」

「だって…。」

そう言うと、小春は私をみんなから少し離れた所へ引っ張っていく。

「東先生に少しでも近付きたくて!私も書記になったけど、一人じゃ心細くて。だから…」

「…小春。だったらちゃんと話してね。寝てた私も悪かったけど。」

(ま、それなら仕方ないか。)

「千秋ー!!ありがとう!!勝手にごめんねー!!」

小春が泣きながら抱きついてきた。

「ほらほら泣かない。もう怒ってないから。」

小春の背中をポンポンと叩く。

(つくづく私って、小春に甘いなぁ。)

「まぁ、委員長は俺だし、困ったことがあったら言えよな。」

「うん、ありがとう。」

(塚原くんが委員長なんだ!良かった…。)

((わー、要カッコいいー。))
(うっさいわ!)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ