あなたと一緒に。

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そして、トコトコと塚原くんに教えてもらった席に向かう。

(窓際の1番後ろって、ラッキーだな。)

そんなことを思いながら席に座る。

私の前の人は、机に突っ伏して寝ていた。

(もう寝てるし!)

思わず心の中で突っ込んでしまった。

それから、教室全体を見回す。

(そういえば、小春ってどこだろう?)

小春の姿を探していると、ガバッと後ろから抱きつかれた。

「ヒャッ!」

思わず変な声が出た。

「小春!」

探していた小春本人であった。

「千秋ー!離れちゃったよー!小春、廊下側の1番後ろなの!」

私に抱きつきながら悲壮な声を上げる小春。

「残念だね…。でも、休み時間とかはすぐに話せるから大丈夫だよ。」

よしよしと頭を撫でる。

「千秋ー!!」

さらに抱きついてくる小春。

「ほらほら、東先生来ちゃうよ。そろそろ座りなさい。」

「分かった!後でね千秋!!」

ようやく離れていった小春。

(相変わらず元気だなー。)

「お前ら、仲いいんだな。」

急に右側から声が聞こえてきて驚いて向くと、塚原くんが私に話掛けていた。

「塚原くん!隣だったんだ!改めまして、椎名千秋です。よろしくね!」

「塚原要。よろしくな。」

「小春と私は、幼稚園からの幼馴染みだからね。腐れ縁てやつかな。」

一通り挨拶を終えると、さっきの塚原くんの言葉を思い出して答える。

「そうなのか。俺にも幼馴染みが居るんだよ。3人。同じく腐れ縁ってやつ。」

そう言ってから、

「おい祐希。そろそろ担任来るから起きろ。」

と、私の前の席で突っ伏して寝ている男子に声を掛けながら、頭を小突く塚原くん。

(祐希…?どっかで聞いたような…?それもついさっき。)

思い出そうと頭を捻らせていると、前の男子がノソノソと体を起こした。

そして、振り向いて塚原くんに顔を向けた男子は、

「もー、要。もうちょっと優しく起こして下さいよ。」

「お前が起きねーからだろ。」

浅羽祐希くんでした。

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