あなたと一緒に。

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私たちが教室に入ると、まだ東先生は来ていなかった。

黒板には、座席表が貼られていて、その通りに座るらしい。

(名前順じゃないんだ。)

すると、次の瞬間、クラスのみんながワッと座席表に群がってきた。

「おい、お前どこ?」

「ゲッ!1番前かよ!」

「やったー!近いよー!」

みんながワイワイと騒ぎ出す。

もちろん私は何も見えない。

(またこのパターン…)

私はゲッソリしながらも、またピョンピョンと跳びはねながら頑張って見ようとした。

「お前、窓際の1番後ろ。」

すると急に、頭の上から声が降ってきた。

「え?」

上を見上げると、塚原くんがいた。

どうやら、さっきの声は塚原くんのようだ。

「お前、椎名だろ。」

「う、うん。」

戸惑いながらも返すと塚原くんは、もう何も言わなかった。

(教えて、くれたのかな?)

「ありがとう。塚原くん。」

ニコッと笑いながらお礼を言った。

「別に…。あいつらが邪魔なだけだし。」

顎で前に群がる人たちを指しながら、ぶっきらぼうに答える塚原くん。

その様子に少し苦笑する。

「私も困ってたから、助かりました。ありがとう。」

もう1回お礼を言った。

すると塚原くんは、チラリと私を見てから、

「…おう。」

とだけ答えた。

心なしか、照れてるように見えたのは気のせいかな。

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