あなたと一緒に。
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「続いて、各教科担当の先生の紹介に移ります。」
ツンツン
ボーと、次々と紹介されていく先生たちを眺めていると、小春が後ろから背中をつついてきた。
「何?」
小声で尋ねる。
先生にばれたら面倒だからね。
「東先生ってどっかのクラス受け持つのかな?」
「さぁ?」
「小春たちのクラスの担当にならないかなー」
「そうなるといいね。あ、東先生だ。」
「え!」
私の言葉に反応して、小春がバッと舞台上に顔を向ける。
「古典を担当します。東晃一です。」
「東先生、やっぱりかっこいいなぁー」
小春がうっとりとした目で東先生を見ている。
(小春、本当に東先生のこと、好きなんだなぁ。)
私は、小春が高1の頃から東先生のことを好きなのを知っていた。
そして、密かに応援していた。
「後、今年は2年4組の担任も担当させてもらえることになりました。よろしくお願いします。」
ワーと、私のクラスの人たちの歓声の混じった拍手が起こる。
私は小春の方を振り向いた。
小春はポカンとした顔でまだ舞台上を見ていた。
「小春、やったね!東先生が担任だよ!」
そう小春に声をかけると、ハッと我にかえったようだった。
そして、「嬉しい…」と呟くと、小春の頬が緩み、すごく幸せそうな表情をした。
「良かったね、小春。」
頭をよしよしと撫でてあげた。
「うん。ありがとう、千秋。」
小春の恋が叶うといいな。