あなたと一緒に。
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(うわー、本当にかっこいいなー。睫毛ながーい!)
「あのー」
(絶対モテんだろうなー)
「聞こえてますかー?」
「わっ!?」
思わず食い入るようにその男子の顔に見惚れていると、急にその綺麗な顔が目の前にきた。
「俺の顔になんか付いてます?」
「へっ!?いや、なんっにも付いてないですっ!」
「いや、一応、目と鼻と口は付いてるはずなんですが。」
「あ、えと!そういう意味じゃなくてですね!えっと…」
「分かってますから大丈夫です。」
私の慌てぶりを見てか、その男子はクスッと笑った。
「////!!」
(うわ、笑った!かっこいい…じゃなくて!)
「あ、あの、助けてくれてありが…」
「千秋ー!!」
ガバッ!!
私の声を遮って誰かが思いっきり抱きついてきた。
まぁ、見なくても分かるけど。
「小春。」
幼馴染みの三宅小春だ。
「千秋と小春、同じクラスだったよー!4組!」
「そっか!よろしくね。」
「こちらこそー!」
「あの、お取り込み中悪いのですが…」
「あ!」
小春と話していてすっかりその男子のことを忘れてしまっていた。
「俺、そろそろ行かないと、なんで、失礼します。」
「え!」
どうやら友達を待たせているみたいで、さっさと歩いて行ってしまう。
(ど、どうしよう…お礼言えてない…でも、名前分かんないし…)
焦っている間にもその男子はどんどん進んで行ってしまう。
「あれ?今の浅羽だったよね?」
「え、あさば?」
「うん、浅羽悠太。学校中の有名人ですよー。千秋知らなかったの!?」
小春情報を信じて、もう大分離れた背中に向かって叫ぶ。
「浅羽悠太くん!」
クルリと振り向いた浅羽くん。表情は分かりにくいがなんとなく驚いた顔をしている気がする。
周りの人や小春がギョッとした顔で見てくるが、気にせず続ける。
「助けてくれてありがとうございました!」
最後にペコッと頭を下げる。
顔を上げて遠くにいる浅羽くんの方を見る。
なんだか口をパクパクさせている。
2.0の視力を使って必死で読み取る。
「ど う い た し ま し て…!」
最後に浅羽くんはかすかに笑って友達と去っていった。
(悠太くん、今の子は?)
(さっき、お助けしました。)
(そうなんですか!面白い子ですね!)
(そうだね。面白い子だよ。)
((ゆ、悠太くんがすごい笑ってる…!!))