Cherry
□Micky's girl
1ページ/4ページ
合い鍵で静かにドアを開ける。
玄関の棚にはピンクと白のガーベラ。
彼女がよく風水の基本中の基本だと言っている、大きな鏡。
……久しぶりの***の家は、何も変わっていなかった。
真っ直ぐ進めば、リビングに繋がる。
俺は勢いよくリビングのドアを開けて中に入った。
「***!ただいま!遊びに来たっすよ!」
大きな声で俺なりのサプライズ。
目を大きくあけて、驚いた表情の彼女が目に浮かぶ。
……でも実際は、そんな彼女の姿なんて見当たらなくて。
「……おっ、と」
よーく見たら、テーブルに座ってニコニコと俺を見ている女の子ひとり。
「おかえり、ユチョン。待ってたよ」
……俺の想像とはは、まったく正反対だった。
目を大きくあけて、驚いた表情をしているであろう俺。
ニコニコしている君。
そう、正に正反対。
視線を移してみれば、テーブルの上にはごちそうがたくさん。
「……なん…でっすか?」
「……なに?」
「なんで、俺が来ること……」
「わかったのかって?」
俺はコクンと頷く。
頬杖をする彼女は、得意げにフフンと鼻で笑って言った。
「なんとな〜く、かな?」
……俺の彼女は、不思議な子なんです。
_