Ant

□世界と孤独と自由と君と
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『もし、地球上で生きているのが自分だけになったら、あなたはどうしますか?』




そう言ったのは、私でもなく君でもなく、テレビの中の綺麗なお姉さん。










ソファに座って真剣にゲームをしてるジュンスと、珍しく読書をしてみた私。



そして特に意味もなく電源がついているテレビ。



私たちは当たり前のようにゆっくりと目を合わせた。






「……だってよ?ジュンス」


「うん。僕も聞いてた」






ゲーム機の電源を切って、本を閉じて。



心なしか近づいた気がする私と君の距離。



腕組みをして唸りだすジュンス君は、誰よりも単純で真っ直なやつだ。







「どう思う?***」


「ん?私?……うーん、あんまり想像できないかも」


「うん、ちなみに僕も」




だははははは!


能天気に笑って、またゲーム機の電源を入れた君。



ピコーン、なんて鳴らしちゃってさ。





私は試しに自分の世界に入ってみる。



世界中に自分ひとりっていうのは多分悲しいけど…



見たいものはすぐ見れるし、食べたいものもすぐ食べれるし…






「……どうなんだろ」


「ウェ?」






ふいに母国語が出てしまっています、ジュンス君。



目を真ん丸にさせて、私を見ている。






「ジュンスはどうする?」


「それはまだ世界でひとりの話?」


「うん、そう。その話」






キョトン顔から気難しそうな顔に変わっていく。



ジュンスはまたゲーム機の電源を切った。






「僕は遠慮しとくよ、世界でひとりは」


「どうして?なんでもできるんだよ?自由に」


「そうだけど」


「自由な毎日って楽しいよ?きっと幸せだよ?」


「そうですけど〜」


「人の目も気にせずに立ち読みできるよ!エロぼ、」


「ちょっとぉ!***!なぁに言おうとしてるんだよぉ!」


「そう?…じゃあなんで自由が嫌なの?」


「嫌ではないけど…」


「じゃあなに?」


「自由なのは幸せだけど、それ以上の幸せを知ってる気がするんだよね、僕」






腕組みをやめて頭の後ろで手を組んで。



当たり前のように言うけどね、ジュンス君。






「……よくわからないんだけど、ジュンちゃん」


「え?そう?」






彼はいつものように身振り手振りを使いながら説明をし始めた。






「自由になるのも幸せなんだろうけどね〜」


「うん」


「メンバと笑ったり」


「うん」


「家族みんなでご飯食べたり」


「うん」


「メンバと歌ったり」


「うん」


「ファンの人にありがとうって言われたり」


「うん」


「それから、何よりも君が隣にいてくれたり」





僕にとってはそっちの方が幸せなんだよ、きっと



そう言って、こっそりと私の手を握るジュンス。



互いの指と指が自然と絡まっていく。





見かけによらず男らしくてゴツゴツしてて大きくて。



でも温かいジュンスの手の平。






「……僕にとって、今みたいなこの時間はどうしようもなく幸せなんだ」


「……うん」


「そう、こんな感じ、僕の言いたいことって」





わかったかな〜?


不安そうに私に尋ねる君。




残念ながら、まだ完全にはわかってないんだけどね、ジュンス。



でも、なぜか心臓が破裂しちゃうんじゃないかってくらい熱くなったんだよ。





……それからね?




一瞬、視界が水の世界に沈んでいってしまったの。




























「……あれ?***、花粉症だったっけ?」


「…っ、え?なんで?」


「目が真っ赤だよ、今」






私はぎゅっとジュンスの手を握り返した。






……やっぱり君の手は温かいままだ。






-END-

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