Ant
□幸せは君だと
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桜も散り始めて新しい環境。
……こんなにも苦しいだなんて、思いもしなかった。
「嫌なことが99こで、いいことは1こ」
「……なにそれ?ジェジュン」
「人生ってそういうものだと思ってる、僕は」
……たまにこんな真面目腐ったことを言うんだから、ジェジュン。
そのたびに私はあいた口が塞がらないよ。
「……また、ジェジュンの真面目タイムだね」
「あっは!なにそれ〜!ほんとにぃ〜」
指を鼻に当てながら、ジェジュンはいつものように可愛らしく笑う。
こんなにも心が温かくなるのは、どうしてだろう。
……ジェジュンの笑顔を見るとなぜか安心するっていうのは、多分一生のなぞ。
「そう考えると、人間ってたいした生き物だよね?***」
「なんで?」
「ひとつの幸せのために、たくさんの苦しみや悲しみを乗り越えて行けるんだからさ」
そう言ってジェジュンは、優しく私を抱きしめた。
不自然なほど真っ直ぐに。
不自然なほど力強く。
不自然なほど温かく。
……なるほど
ジェジュンには、すべてお見通しってわけね。
「……そうだね。ありがとう、ジェジュン」
「僕がいるから。***はひとりじゃないから」
「……くっさい台詞」
「あっはは!ひどいな〜、ほんとに***は〜」
…―もし
もしも、君と出会えたことが人生の幸せだとしたら。
きっと私はどんな困難も乗り越えて行ける。
……どんな困難も幸せに変えていけるのだろうと
今、心の底から思うよ。
「……ジェジュンがいてくれてよかった、私」
「くっさい台詞だね〜、これ」
「……うるさい」
ジェジュンはまた可愛らしく笑いながら、私の頭をなでる。
-END-