Strawberry

□こけしの前髪
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なかなか来ないユノに、少しだけ怒りが沸いてくる。



私はわざと足音をたてながらユノの元へ向かった。



当のユノと言えば、さっきと今だに変わらない場所で、ハサミを持って座っている。





「ユノ!ちょっと!」


「なぁんだよー」


「なんだよー、じゃないよ!見て!私の前髪!」


「……うん?見たけど?」


「じゃなくてーっ!」





目をまん丸にして下唇を前に出すユノ。





ユノ君はこの劇的な前髪を見て、何も思わないのかな?



人をこんな姿にして、少なくともあなたの彼女なのに私。

どうすればいい?


自分の彼女の前髪がこけし人形って見てられる?



信じられない。





怒っているのか、悲しんでいるのか。



自分ですらもわからないグチャグチャな感情のせいで、いとも簡単に涙腺が緩み始める。





「なんで怒ってるのか分からないけど……」



小さくつぶやくユノを、恨み目で見てみれば。



彼は困ったような、照れたような、そんな口調で私に言うんだ。





「……***、かわいいよ、それはそれで」











私っていう奴は本当に簡単な女で。


あなたの言葉ひとつで私はどん底から救われるんだ。



なーはーはー!


大口あけて豪快に笑う君。




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