ウツヒロ

□あなただけ見つめてる
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目を覚まして、その温もりが夢じゃないとわかって安心する。

優しく包み込んでくれる愛しい体温。

それを背中に感じながらオレはこのまま時が止まればいいと思っていた。



ウツさんと出会うまでは思ったこともないことを、もう何度祈っただろう。



大きな手で髪を撫でてくれるのが気持ちよくて、オレは目を閉じたまま寝たふりをしていた。

と。

「っひゃ…」

突然耳にキスされて思わず声が出る。
顔を上げるとウツさんが意地悪そうに笑っていた。

「…もう、ウツさんっ」
「可愛いね。ヒロは」

クスクス笑いながらオレを抱きよせて口唇を重ねる。

「ん…っ」

その強烈な甘さにクラクラして、息苦しくて体の力が抜けてくるけどもっと欲しくて首に腕をまわしてしがみつく。


離れたくない。
いつでも触れ合っていたいと思うくらいこの人のことが好きなのだと思い知らされる。


「ヒロ、大好き」

甘いキスの合間にもっと甘い声でウツさんが囁いた。


オレの大好きな声。

いつもはみんなのものだけど今はオレの名前だけ呼んで。


「ん…オレ、も…」

口唇を解放されて、乱れた息を整えるようにウツさんの胸に顔を埋める。

「好きだよ」

身体中が痺れるくらいの甘い囁き。

いつもいつも、言いたい言葉を先に言われてしまう。

「もう一回しよっか」

くしゃくしゃとオレの髪をいじりながら、にっこりとウツさんは笑った。


……この笑顔はズルい。

この顔に、この声に抗えるはずがない。


もう一度、優しく口唇が重なる。

オレも先を求めるようにウツさんの首に抱きついて深く口付ける。


抗う理由なんてない。

何時でも何度でも。
オレはウツさんが欲しいから。


「あ…っ」
「本当に可愛いよね。ヒロの声は」

体に触れる手は休めずに、ウツさんは優しく笑うと頬にキスを落とす。

「でも…オレ、ウツさんの声が好き。名前呼んで」
「ヒロ」

囁くように呼ばれて、また耳にキスされるとビクッと体が跳ねた。

「ここ、弱いよね」

ウツさんが笑う。

でも違う。
触れるのがウツさんだから、オレは敏感になるんだ。

「もう…欲しい。早く」

持て余す熱に、待てなくなって自分から求める。


ウツさんにもオレを感じて欲しくて。
ひとつになりたくて堪らない。


「上においで」

抱き起こされて、オレは素直にウツさんの上に乗る。

ゆっくり、体を沈めていく。

「ん……っ」
「キツい?」
「大丈夫…気持ちいい」
「うん。俺も」

オレの腰を抱いて、ウツさんが奥までゆっくり入ってきた。

息が止まりそうになるほどの熱さ。

痛みも苦しさも、ウツさんが与えてくれるならオレには快楽になる。


ウツさんの全てを感じたい。


「っやぁ…」
「力抜ける?動くよ」
「ん…もっと、して。ウツさんが欲しい」


どうして、こんなに好きなんだろう。

不安になるくらい好きで好きで、自分でコントロールがきかなくなる。


もっと感じたくてオレは自分で腰を動かす。

「スゴい…気持ちいいよ。ヒロは?」
「気持ちいい…もう、ダメかも…っ」
「じゃあ一緒に」

そう言って、ウツさんはオレの腰を掴んで下から突き上げるようにする。

「あ…あ…っ」

同時に、オレたちは熱を放った。





大きく息を吐いて、ウツさんの胸に倒れ込むと優しく抱き止めてくれる。

「スゴい…よかった。ウツさん、好き」
「うん…俺も」

また優しく笑って髪を撫でてくれて、これ以上ないくらいの幸福感で満たされていく。


憧れて、好きになって。
こんな関係になるとは思ってなかった。

だけど後悔なんてない。
誰にも言えないからこそ、二人だけの秘密になるから。

それが、幸せにつながっていく。




end.
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