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□私が好きなのは…
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「…、…咲?咲!?」
眼を覚ますと、隣に寝ている筈の咲がいない。
「…おかしいですね…何時もなら咲より私の方が早く起きる筈なんですけど…」
彼は眠たげに体を起こし、リビングへと向かった。
「あっ…ニア!おはよう!」
彼に向かって微笑むのは
彼、ニアの恋人咲。
「…随分と早いですね。なにかあったんですか…?」
ニアは愛しい彼女の姿を見て、ほっと一息ついた。
「えへへ…じゃーん!!ケーキだよッ!」
彼女が冷蔵庫から取り出したのは、
いちごの乗ったショートケーキ。
「…何故ケーキなんです?今日は私の誕生日でも咲の誕生日でも無い筈…」
「ほら…アンバースデーケーキってあるじゃない!不思議の国のアリスの…」
「はい、ありますね。それがどうかしたんですか?」
あくまで淡々と応えるニア。
「うぅ…。ただ単に作りたかっただけですぅ…」
頬をちょっぴり膨らませて拗ねる咲。
(鳴呼…愛おしい愛おしい私の咲…。)
「でさでさっ!ニアも一緒に食べようよ!半分ずつ」
「半分ずつですか…。まあいいでしょう…私も食べます。」
「やった!!早く食べよっ!」
…朝からケーキですか。とニアは思ったが、
彼女と過ごせるなら…と我慢した。
「どう!?どう!?」
咲は眼を輝かせながら感想を聞いてくる。
「……甘いです。」
「ぷ…あははは!!そりゃあケーキだもん!…あ…もしかしてニア…ケーキ嫌い…?」
「…嫌いではありません。ですが---」
「…ですが?」
「咲の方が好きです。」
---そう言ってそっぽ向く、君。---