お兄ちゃん
□佐藤先輩
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「ちょっと職員室に行かなくちゃいけないんだけど、大丈夫そう? 起きられるようならそこのお茶を少し飲んで体を温めて、そうね……午後は休んだほうが良いかもしれないわ。おうちの人に連絡しておく?」
「……大丈夫です。ちょっと休ませてもらえれば平気だと思うし、早退するほどじゃないと思うので」
ふわふわした白いベッドに横たわっているうちに、眩暈も治まってきたような気がするし、お昼休みから5時間目を眠って過ごせば6時間目には出られるような気がした。
「そう? じゃあなるべく早く戻ってくるから、少し眠るといいわ。担任の先生には伝えておくから」
そう言ってミエコ先生は保健室を出て行った。
「佐藤先輩にお礼とお詫びを言わないと……」
お昼休みに、1人になってしまう私を心配してくれたことのお礼と、倒れて迷惑をかけたことのお詫び。
ああ、でも先輩戻ってくるのかな……お兄ちゃんの教室には行きたくないし……。
やはり睡眠不足が祟っているのか、私の意識は段々濁り始めた。
そして私は佐藤先輩とミエコ先生が戻ってくるのを待っているうちに眠ってしまった。