お兄ちゃん
□佐藤先輩
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「ちゃんと寝てちゃんとごはん食べてる? かなりやつれてる感じよ?」
保健医のミエコ先生は、ベッドに横になった私の額に手を当てながら首を傾げた。
「……ちょっと、寝不足だったかもしれません……」
お昼を一緒に食べようと佐藤先輩が誘いに来てくれて、先輩が購買でパン争奪戦に参戦しているのを待っていたら、何だか眩暈がして。
しゃがみこんだ私を先輩が支えて保健室まで連れてきてくれた。
「眩暈がした時点でしゃがんだのはいい選択よ。立った状態から倒れるよりも、打撲のダメージが少ないから」
ミエコ先生はにっこり笑って、温かいお茶が入ったマグカップを枕もとの引き出しの上に置いてくれた。
「それにしても、佐藤君は一体どこに行ったのかしらね?」
佐藤先輩は、私をミエコ先生に預けると「薬、持ってきます」と、謎の発言をして走り去ってしまったのだ。
私に常用薬はないし、何のことだか解らないけれど、ミエコ先生に促されるまま保健室のベッドに寝かされて今に至る。