おでんと、愉快な仲間達
□麺の中心で、日清を叫ぶ・2
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お盆が終わるとやってくる涼しい風に、夏の終わりを感じる。
それが、少し淋しいなんて思うのは歳のせいなのかな。
『麺の中心で、日清を叫ぶ・2』
〜愛が深まる瞬間〜
「ほらっ!日清君早く〜!」
「待てよ箸!そんな急がなくても屋台は逃げないから」
笛や太鼓が響く丘の上の神社では、涼しくなるこの時期には、毎年夏祭りが行わていた。
高校3年の時から付き合い始めた僕らは約3年間続き、今にいたる。
高校を卒業した後、箸はパティシエの資格をとりケーキ屋にて働き、僕は4年大学へと道を進めた。
お互いにいろいろと忙しくて会える時間が限られていたが、箸は仕事が休みな時は決まって僕に会いに来てくれた。
そんな健気なとこが、また可愛いんだけど…。
(少し、ものたりないんだよね…)
相変わらず遠慮がちな性格はまだ健在で、あまりわがままを言う娘ではないのはわかっている。
けど、俺としてはもう少しわがままを言ってもらった方がいいと言うか…。
ほら、好きな奴のわがままなんて可愛いもんじゃん?
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