終わり
□◎1年遅れの卒業式◎
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今から、約1年前。
僕の大切な人が、死んだ。
彼女は、春の桜に希望を持ちながらも
『不治の病』と言う壁の前で
静かに、消えて逝ったのだ。
◎1年遅れの卒業式◎
2006年。
僕は、高校を卒業し医者になるために大学に進学した。
大学は東京にあり、地元の福島を離れる事になった。
当初の僕には、福島を離れる事は好都合だった。
あの時の僕は、彼女を失った哀しみを
隠せる方法が見つからなかったから…。
気が付けば、空を見上げており、
気が付けば、後ろを振り返っている。
ふとした瞬間に、彼女を探している僕がいた。
…今思えば、苦笑いするけどね。
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