終わり
□◎最終話・別れそして旅立ち◎
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君といた時間を
僕は、一生忘れない。
◎別れ、そして旅立ち◎
まだ、肌寒い風が吹く。
今日は3月1日。
普通だったら、僕は高校の卒業式に出席するはずだった。
けど、今僕は空を見つめていた。
…いや、空というよりは空に溶け込んでいく彼女の煙を。
「いってらっしゃい…」
僕は彼女に呟いた。
煙と共に、僕の中の彼女との思い出も、空に吸い込まれてしまいそうな気がした。
こうして僕は、後何回、彼女のことを想うのだろうか。
「つっく」
「ローツ、豆腐さん…」
名前を呼ばれ振り返ると、ローツと豆腐さんが立っていた。
2人も僕と同じく、卒業生なのに式に出なかった。
でも、僕は何も言えなかった。
2人もまた、僕と同じ理由でココにいるから。
「大根のお母さんに、話して来たから、行こ?」
「わかった。ありがと」
僕は彼女の母親に、彼女の骨の灰をもらった。
彼女と、沖縄に行くために…。
守れなかった約束を、果たすために…。
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