終わり
□◎第64話・助けてください◎
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あの時、病院の屋上で
君と見た夕日
肌寒い風
真っ赤に染まる空
僕は一生、忘れないだろう
◎助けてください◎
僕と大根の物語は、そろそろ終わりに近付いている。
いっぱい、いろんなことがあったね。
沢山笑って、いっぱい泣いたね。
僕は、絶対忘れないよ。
君が、僕の隣にいて、誰よりも人一倍、輝いていたことを……。
「大根っ!!!」
「…つっ……く…」
僕の声に、かすかに反応する大根。
僕は、痩せ細った彼女の体を抱き上げた。
「今、救急車呼ぶから「呼ば…ないで……いい…」
大根が、口を開いた。
「だ、大根……?」
彼女の手が、僕の手に触れた。
僕は、大根の手を握りしめた。
握り締めた大根の手は、弱々しく震えていた。
『もう、限界』
とでも言うように…。
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