終わり
□◎第61話・僕の隣◎
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握る手から
伝わる温もりは
世界一、大切なモノ
◎僕の隣◎
少し肌寒い夕方、私は動かない足を引きずり、車椅子に乗った。
どうしても、行っておきたい場所があった。
空に近い、私達のおなじみの場所。
「屋上?」
つっくが呟いた。
「夕日が、見たいな…」
最後に……どうしても見ておきたかった。
夕日を見たい理由なんてなくて
ただ…気持ちがそうした。
「よし……行こう」
もう見れないかもって、頭の中で声がしたような気がした。
空を見上げることができなくなるのは、少し寂しい。
でも、貴方を見守る事が出来るなら、私は空になってもいいかな。
なんて、思うんだ。
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