自作小説
□汝の心に光をともせ
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目が覚めると、ユーズレスはカプセルの中に居た。
この部屋には同じようなものすごい数のカプセルが並んでいて、中には同じように人が入っているものがあった。
「お、俺は……」
目を開けると、長いあいだ目を閉じていたのか、光で目が痛くなった。
「大丈夫か?」
誰かが手を差し伸べてきた。
逆光と久しぶりの光で相手の姿が見えない。
「先輩……ですか?」
「そうだ」
なんとなくわかっていた。
目の前の存在が先輩であることが……。
俺は先輩の手を握り、上半身を起こす。
「ひとまず、みんなのところに戻ろう。みんなはスラム街の宿屋にいる」
「ちょっと待ってくれ、俺は転生したんだよな?」
「そうだが、それがどうした?」
「俺と一緒に転生したやつがいるんだ。その中にはリリアもっ!!」
「わかった、カウンターに行けばわかるだろう。ついて来い」
そういわれて、ふらつきながらサイレートの後をついていく。
この施設は白が基調なのかどこもかしこも白だらけだ。
白い壁、白い床、白、白白白。
すべてが白いこの部屋では自分たちは異端な思いをさせられる。
カウンターに着いた。
カウンターにはこれまた白い服に身を包んだ人が居た。
「ようこそ、転生サポート施設『トランスマイグレーション』へ」
「すまないが、転生者を探しているんだが、検索を頼む」
「了解しました。検索を開始します。お名前は?」
「で、誰なんだ?お前の探しているやつらは?」
「イリス、リリア、ムヴィルの三人だ」
「了解しました。検索を開始します…………検索が終了しました。三人は転生が決定していますが、生前の転生体の生成が終了していません」
「いつ終わる?」
「明日には終わるかと思われます」
「わかった。それではいったん宿屋に戻るとするか」
「わかった」
彼らの転生は明日、それまではどうすることもできず、仕方なくユーズレスはサイレートと共にスラム街の宿屋へと帰っていった。
宿屋に着くと最初にヘイトがユーズレスに抱きついてきた。
「やっほ〜、無事に転生できたんだ〜。地獄の沙汰も何とやらだね」
続いてミンがユーズレスの肩に走ってきた。
「大丈夫ですか?心配してたんですよ。あなた、ユーズレスに何で抱きついてんの、離れなさいよ!!」
ミンはユーズレスの肩に乗り、シャーという鳴き声を上げ、毛を逆立てながらヘイトを威嚇する。
なんというか、懐かしい。
そんな感じにさせる風景だった。
だがしかし、重い。
「あの〜、重いんですけど……」
「女の子に重いとか……傷つくな〜」
そういってヘイトは指を鳴らす。
すると、ヘイトは黒いオコジョのような姿に変身した。
それはミンの色違いにしか見えない。
そして、ミンがいるほうとは逆の肩に乗る。