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□拓蘭
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霧野side




赤、紅、あか





俺の目には赤しか映らない

真っ赤な血の色



あの日、あの場所から飛び降りて以来




自殺したら
自殺した場所で永遠にさまよい続けるっていう話


あれ、本当だったんだな

なんか…


つまらない


人生につかれたから飛び降りてみた

死ぬ気なんてさらさらなかった


神童にも会えなくなるし


だけど、



おれ、



死んじゃった



その場所でさまよい続けるはずなんだけど、

さまよっているんだけど…




俺の体動かないんだよね


なんで?


だれかがひきとめてんのかな


そんなわけないか



まあ、いいや




空がきれい


なんてわからない


屋上から飛び降りたから
きれいな空ずっと見れていられるのかなって思った

でも真っ赤にしか見えない


むかつく


みんなそうなのかな


なんで?


俺だけだったらすごいむかつく




ああ、神童に会いたい





神童side


あの日以来

霧野は目を覚まさない

本当はそろそろおきてもいいのに



ねすぎだよ…


ね、起きてよ


なんで飛び降りたの




俺の目の前で



やめてよ


あの日のことは鮮明に思い出す


俺の目の前で落ちて行った霧野




骨が折れる音

鈍い音



体から血が出てくる

真っ赤な


真っ赤な






綺麗な色の目が、



真っ赤に染まる




隠さないでよ
あんなにきれいな眼の色なのに



霧野のはずっと眠り続けている



もしかしたら

明日目をさますかもしれないから




ずっと病院に通い続けている俺

でも、あの日からはもう2年の月日が流れたんだよ、霧野


ねえ、起きてよ



つづく。
 

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