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□拓蘭
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※設定
霧野くんに持病アリ
そして、神童くんはそれを知っている
まあ、重たくないしいっか☆
とか思ってたらなんだか最近からだがおかしい…
てきなお話
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今日から1週間のテスト期間のため、部活はお休み。
ちなみに、学年最後のテストなので内申書にとても響く
まあ、そんなことがこの霧野蘭丸に通用するわけもなく…
今日も俺の家に来ていた。
「霧野は勉強しなくてもいいのか。」
「いやいや、俺勉強とかしたことないし」
なんて、軽く言ってくれる
「まあ、さすがに学年トップのお前には敵わないけどな」
そう、霧野は勉強をしていないくせに頭がいい
生まれ持った天才ってやつだろうな
まあ、俺と小学校のころから一緒だから小学校受験も体験しているし
なんだかんだいって塾にはちゃんと行っている
「あ、やべ」
「どうした?」
「あ、明日から検査入院だからさ」
「ああ…」
テスト期間だというのに、霧野は勉強せずに入院しなくてはいけない
最近の霧野の様子は俺はもちろん、他の奴らからみても良い状態とは言えない
事情を知らない奴らは調子が悪いだけとしか思っていないみたいだが、
明らかに持病だろう
霧野の持病は運動神経にかかわっている
だから、サッカーをすることで体に負担が表れているようだ
「じゃ、失礼するよ」
「ああ、またな霧野」
「じゃあな」
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3日に分けてあったテストが終わり、久しぶりに部活に出た
「キャプテン、霧野先輩はお休みですか?」
「ああ」
松風が聞いてくる
松風は霧野が入院していることを知らない
「そうなんですか、あ!霧野先輩にお大事にって伝えておいてください」
「ああ、もちろんだ」
お大事にって、風邪じゃないんだけどな
なぜだろう
無性に耳鳴りがする
遠くから、霧野の声がする
遠くから、泣いているような声がした
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2回ほどドアをノックして、中にいるであろう霧野の笑顔をちょっと想像してみたりなんかしながら
中に入った
「神童!」
予想道理の笑顔を向けてくれた霧野に
少しのうれしさと満足感があった
「久しぶりだな、テストどうだったか?」
「まあまあだよ」
「とかいいながら、トップなんだもんなあ」
本当にこいつは病気なんだろうかってぐらい明るく話す
まあ、そこまでひどくないんだけどな
「寝てなくて大丈夫なのか」
「ああ、検査の結果異状はなかったから明日には退院できるんだよ。
もちろん、サッカーもできるしな!」
うれしそうにはなすから、つい抱きしめてしまった
「神童…?」
「早く、戻ってきてくれよ。俺、さみしいからさ」
「はははっ神童はうさぎだもんな」
うさぎは悲しいと死んじゃうもんな
なんていうから、霧野はやっぱりわかってないなとか思いながらさらに強く抱きしめた
「俺さ、悲しいんじゃない」
「え?」
霧野は俺の酸素
いなかったら苦しくて息ができなくて死んでしまう
霧野は俺の水
いなかったら、おれは干からびてしまう
霧野は俺の食糧
いなかったら、俺は…
「大好き」
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そして、霧野が退院して2週間後
事故にあった
持病がもたらしてしまった
横断歩道の真ん中で突然足がうごかなくなり、倒れてしまった霧野
そしてそのまま誰にもたすけられることなく
彼の命は大型トラックにより、あっけとらずに消えてしまった
俺は運転手を恨んだ
俺の大切な霧野を奪った罪は重いんだ
酸素がないと人はどうなる?
水がないどうなる?
食糧がないとどうなる?
霧野が居ないと、俺はどうなる?
目を閉じた霧野がいる病院の廊下には、俺の叫び声と俺を抑えるサッカー部員の声だけが響き渡っていた