長編 -復活-


□ハローハロー 恋心
1ページ/1ページ

*ルーチェはアルコの一員で、まだ子どもは産んでいません。現役です。

___数分前


「風、貴方ついに彼女ができたんですって?」


_こんにちは。皆様。風です。
何故この昼時にルーチェが私の住むマンションにいきなり現れ開口一番に「彼女ができたのか」と聞かれているんでしょう?というか、私に彼女なんていませんし。
…………好きな人ならできましたが。


「ルーチェ、誰が言ったのか知りませんが、私に彼女なんて出来ていません。というかさりげなくついに、なんて付けましたね貴女。」


「あら?コロネロがわざわざ私のところに来て言ったからてっきり…。違うの?」


「……」


( なるほど、コロネロですか。あらかたリボーンが誰かに私に好きな人が出来たと言ってそれを勘違いしたコロネロが面白半分にルーチェに言った、というところでしょう。)


(…まぁいいです、リボーンとコロネロは後でシメときましょう。)








(さて、本題はこれからどうするかです。噂は出回ってしまった以上、今更どうすることも出来ませんし…。)


黙り込む私を覗き込む様にして様子を伺うルーチェが、ひとつの疑問を出した。









「あ、じゃあ、好きな人はいるのかしら?」






(改めて思いました。 女性の勘は恐ろしい、と。(後日談))



___現在


「おい風!居るかコラ!」

…何なんだ今日は。ルーチェの次はコロネロが来るなんて。

はぁ、と溜め息を付きながらコロネロに話し掛ける。

 「どうしたんですかコロネロ。私の所に来るぐらいならあの山積みの書類のひとつぐらい片付けたらど「どうしたもこうしたもねぇぜ、コラ!」……」

自分のセリフを遮られ、怒りで笑顔が引きつっていることは自分でも感じられるぐらいだ。


そんなことは気にしないコロネロは話を続けた。



「お前、結婚するのか?!」







「……………………………は?」




何を言ってるんだこの筋肉馬鹿は。あまりにも話が飛躍しすぎて考えるよりも口が先に動いた。
ルーチェはコロネロに聞いたのではないのか? はと気づき、ルーチェに視線を送る。


「あら?コロネロ、私に風のこと知らせた時は結婚なんて言ってなかったじゃない。」


「それがさっきリボーンが風が結婚するって言ってたぞ、コラ!」


…こいつはただの筋肉馬鹿ではなく単細胞筋肉馬鹿なのか。何故こんなリボーンの話を信じるのか呆れて言葉にならない。


「コロネロ、流石に結婚はないわ。だって恋愛に関しては奥手でヘタレでダメダメでムッツリな風が付き合ってスピード婚?あり得ないわよ。」


「…失礼過ぎませんか、貴女h 「それもそうだな、コラ!」コロネロ、死にたいですか?」



ルーチェやコロネロに思い切り馬鹿にされ、怒りがふつふつと湧いてくるのを感じる。
(ヘタレや奥手は分からない事もありませんが、わたしってむむ、ムッツリなんでしょうか…?)

そんなことを考えてると、





ピンポーン






と、呼び鈴が鳴った。


…もし、こんな時にリボーンが来たら私はリボーンを殺めるだろうななんて我ながら物騒な事を考えつつ、玄関のドアを開ける。




「あ、風さん。えと、今お忙しいでしょうか…?」


「おや、綾乃さん。どうしたのですか?こんなところに。」


「リボーンくんからの頼まれごとですよ。風さんに、って。」


「それはそれは。すいません、わざわざ持って来てもらって。…あぁ、立ち話はなんですし、どうぞ、上がって行って下さい。」


「いいんですか?…じゃ、お言葉に甘えて。」



…これはまた 可愛い客人だ。

心中でそう呟きながら綾乃さんを中へと招き入れた。












「お、綾乃じゃねぇか、久しぶりだな!」



「あら、貴女が噂の綾乃ちゃんね?はじめまして、ルーチェよ。」






… 忘れてた‼


突然の綾乃さんの訪問ですっかり浮かれていてあの2人が居るのを忘れていたなんて…


あの2人に今彼女を合わせるとかなり厄介なことになるというのに!



だが、そんな私の気も知らずに3人での会話は始まっていた。




「はじめまして、沢田綾乃です。えと、ルーチェさんは確かリボーンくんの知り合い、なんですよね?」


「あら、リボーンから聞いていたの?そうよ、古くからの知り合い、って感じね。 それにしても綾乃ちゃん噂以上に可愛いわ!あ、今度何処か一緒に買い物行かない?」


「わぁ、買い物ですか?行きたいです‼ てか、ルーチェさんの方が綺麗ですよ。」


「えぇ、今度行きましょうね。綾乃ちゃんみたいな子と一度、買い物してみたかったのよね。 あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない?ありがとう。」





…ダメだ、ガールズトークが暴走している。



ここまで来てしまったら多分2人を止めるのは無理だろう。仕方ないと、溜め息を小さく吐きながら2人の暴走が収まるのを待つことにした。






「あ、そういえば綾乃ちゃん、風と付き合い出したらしいわね?」



「あ、それ俺も聞きたかったぜ、コラ!」



ブフォ‼

「え、ぇええ⁈」



まさかの不意打ちにルーチェが淹れてくれた紅茶を盛大に吹いてしまった。
それと同時に綾乃さんも驚いたのか声を上げていた。



「な、ななんですか⁈その噂、初耳ですよ‼ふ、風さんは知ってたんですか⁈」


「え?…ま、まぁ、はい。」


わたわたしながら私に問いかけてくる綾乃さんに内心ニヤニy((しながら答えた。


(本当は、貴女には知られる前にこの噂を揉み消す予定だったんですが。)




 

 「すいません、本当に。私なんかと誤解されて…嫌だったでしょう?」



 「あ、いえいえ‼ていうか、風さんとなら別に構わないっていうか、むしろ、その…う、嬉しいっていうか…」


 「え、」


 「って何言ってんだろ…‼ごめんなさい!今のは忘れて下さぃ…」


(いやいやいやいや‼忘れられる訳ないでしょう‼)

 
かなり恥ずかしかったのか段々語尾が小さくなり、耳まで赤くして顔を隠す始末だ。



突然のことに私も頬が熱を帯び、心臓は動悸が激しくなる一方で留まることを知らない。




(これがたとえ、社交辞令なのだとしても、)



「あら、綾乃ちゃん、言うわね〜。これじゃ噂が本当になる日も近いようね。 …で、風、何女の子に言わせてるの?情けないわね。」

「綾乃は風なんかには勿体ねェぜ、コラ!」


「いや、だから忘れて下さいよ‼風さんに迷惑だろうし…」



(こんなに嬉しいなんて。)





____鳴呼、







ハローハロー恋心


(貴女にどんどん溺れていく。
こんな私は、貴女のいない世界で生きていけるのだろうか。)





 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ