Devil's story.
□月下愛歌
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女神様は仲良く男性神と彼らを崇める人間達と、暮らしていました。
何年も――
何十年も――
何百年も――
月のように美しい女神様は、幸せに暮らしていました。
ある日、預言者の男が二人の神の前に、現れ、二人の偶像や、信者達を殺し、更には、邪神とまで言い放ちました。
かろうじて、女神様と男性神は息がありましたが、女神様を庇った男性神は、女神様よりも危ない状態でした。
何も出来ず涙を流す、女神様の目の前に女神様よりも美しい緋色の髪の毛の天使が、現れました。
「バールに近付くな」
女神様は、天使を睨み付けます。
「安心しろ。私はお前達に危害を加えない」
男性神を守るように、覆いかぶさる女神様を気にする事なく、天使は男性神に触れると、みるみると傷が治っていくのです。更に、天使は女神様に触れ、女神様の傷も癒しました。
「私の名はルシファー
あの神を倒したい。お前らの力を貸してはくれないだろうか?」
なんと、その天使は神に抗おうとしていたのです。いえ、堕天使と形容した方がいいのかもしれません。
「いいよ。俺が邪神呼ばわりされるのは構わないけど、この綺麗なアスタルテが邪神呼ばわりは許せないからね」
男性神は頷き、女神様の髪を愛おしむように優しく撫でました。
「なら決まりだ。反逆を起こす前日に呼び寄せるいつでも戦える状態にしておいてくれ」
堕天使は男性神と女神様と握手をすると、飛び立って行きました。
あの堕天使が反逆をするという知らせが来ました。
集められた兵は、高い館の王と呼ばれる者や、何故か直立するラバまでいました。
ですが、これだけの強者揃いだというのに、あの神の下僕達に負けてしまったのです。
男性神達を反逆に誘ったあの堕天使も、死闘の末、彼と瓜二つの天使に剣で腹を抉られて、真っ先に地の底へと落とされました。
そしてすぐに、神に逆らった者達は、容赦なく地の底へと落とされたのです。
男性神は右目を失い、女神様の顔には大きな傷が、残りました。
男性神はいつもと変わらず、美しいよと、言いましたが、女神様には上辺だけの薄い言葉にしか感じられません。
ついには女神様から息から猛毒が発するようにまで、なりました。
自分の変わり果てた姿に、嫌気が差し、女神様は男性神に八つ当たりを初めたのです。
殴り、蹴り、引っ掻き、思いつくまま暴力を浴びせました。